2023年11月2日

中核市サミット2023 in 宇都宮

中核市サミット2023 in 宇都宮

未来世代への責任と実践 〜夢や希望がかなう中核市を目指して〜

佐藤英一宇都宮市長から、宇都宮は餃子まつりがあり、餃子を求めて年間100万人が来る街であり、カクテルの街であり、ジャスの街であるという説明の他に、先日開業したばかりのLRTについて家庭ごみの再生可能エネルギーを利用して運行しているとの挨拶がありました。

初日は基調講演とパネルディスカッションです。

基調講演は早稲田大学理工学術院創造理工学部 森本章倫教授(日本都市計画学会 会長)から「未来世代に向けた交通と都市計画」という内容です。

未来予測には2つの考え方があります。過去から現在・未来に向けて政策を実施した場合のフォアキャスティングで考えるのが普通ですが、未来のありたい姿から現在を考えるバックキャスティングで考えていくことも出来ます。

未来を考える上で重要な視点3つ
1、ネットゼロ、レジリエンス【気候変動への対応や災害強い都市の空間をどのように作っていくのか(空間)】

2、インクルーシブ【子供・お年寄り・女性・障がい者(社会)多様なニーズを考慮した都市の実現。生活はどのように変わるのか】

3、デジタル【手段として都市の課題に対応するためデジタルを駆使する(どんな問題が解決できるのか?目指すのはどんな社会なのか?)】

□空間について
やはり大きなテーマは人口減少。2050年は1970年と一緒の人口になる。1970年台の勢いを考えればやり方によっては世界に戦っていけるが、人口の配分(少子高齢化)などは大きく異なっている(少子高齢化)。

では都市はどのように対応していくのか。70年代との違いは人が住んでいる箇所が広がったという点。市街地が拡大されたので人口は戻るが広がった面積は戻らない。そうなると放置された市街地の問題が出てくる。

その時、中核市クラスの街がしっかりとした経済、基盤で小さな市町村を巻き込んでいき緩やかに解決していく(人々のニーズに合わせて)ことができるのではないか。

空き家の問題は13%〜17%が把握しきれていない(調査が大変)というのが大きい。宇都宮の例。宇都宮市の持っている水道の利用データと課税台帳を照らし合わせる。3年水道を使っていない箇所を調べると総空き家数と同じになる。ということは水道局のデータは活用できる。街の外側から停まっているならコンパクトになるが中心含めて歯抜けのような都市になってしまう。縮退するときは中から穴が抜けるように(スポンジのように)なる。これが問題だ。

ではどうやって解決する?

コンパクトな街という手段。市街地のこれ以上の拡大は難しい。コンパクトシティになるとコンピューターの解析によると2割〜3割くらいコストダウンできる(コンパクトにしていなくてもうまくいっている場合はO K)。 コンパクトシティは手段であり問題は財政。財政が厳しくなりインフラ投資をやめると自然災害の対応が弱くなるコンパクトと言っても重要な箇所をそれぞれ選んでつなげる、コンパクトプラスネットワークの考え方もある。

□交通について
未来の交通とは。交通の歴史は、鉄道200年前、車100年前、LRT 50年前で2020年代は自動運転の時代となる。しかし自動運転が主たる交通手段になるのか?様々な交通手段が情報技術でつながるMaaSがあるが重要なのは都市計画とどのようにつながるのかという点。Maasによって駅中心の魅力が低下することもある。

・歩いて楽しい空間を作る
・カバーできない場所は自転車、パーソナルモビリティ

重要なのは歩いて暮らせる街であるということ。駅・まち・空間の鉄道会社のやり方ではない楽しい空間を作れば人は戻ってくる。マース実験のデータより、バス利用者1.4倍 鉄道3.8倍という結果が出た。ネットワーク化をすると居住地のポテンシャルが変わる。宇都宮は、LR T沿線の人口が増えている。車からLRTに乗り換えればCO2を30%削減できる。

1時間で1万人が移動する場合の例。歩きは1車線、バスは2車線、車は13車線、では飛行機はというと38レーン必要というデータがある。交通を考えるときに乗降空間も一緒に考えないといけない。

脱炭素の観点からも飛行機は遠くまで飛ぶのには効率がいいが、短い距離での移動は飛行機の方が環境に悪い。鍵は賢い組み合わせを考えること。駅前広場を考えるなら自動運転に対応した道路空間が必要になる。

まちづくりは一気にはできないので再開発、区画整理のあるところから実施していく。

・宇都宮の例:交通未来都市うつのみや

まずはデマンド交通コミュニティバス(将来的には自動運転に)を整備した。また、自転車専用レーンは65KMにも登る。 自転車はネットワークしなければ意味がない。コロナ前からライフスタイルが変化してきている。大体全ての年代で外出しなくなっている。理由は家にいてもできることが増えているので家から出ない。特に若者が顕著。理由としてオンラインゲーム、動画配信、テレワーク、オンラインフード注文などがある。人は動かない代わりに物が動きまくっている。ニーズはあるけどドライバーがいない。

・ロスの事例
中心市街地がゴーストタウンに。IT企業などがテレワークになったことにより小売店の撤退が進み都市部の魅力が低下した。
203店舗 →107店舗に。オフィスの空室率も上がっている。都市の中の多様性は非常に重要!

メタバースにハマる若者が増え始めている(外出限の要因)。2050年メタバースが外出先の選択肢のひとつとなる。若者は仮想空間を好むという人が6割いる。都市連動型メタバース バーチャル渋谷を作るなども。

・デジタルの話
遅れると通用しなくなってしまう。世界的の都市間競争に勝てるか?

課題3つ
1、新たな計画概念の提案:スーパーシティ、スマートシティとコンパクトシティの連携。適材適所で今ある資源を使う。示しながら実行していく

2総合型プラットフォーム:データプラットフォームが必要。それぞれの部署がバラバラで作ったものに横串を刺す

3官民連携のマネジメント組織:運営管理、プライバシーの問題など。スマートシティは良いが経済原理に影響されやすいなので公共との役割分担をすることが必要。

 

基調講演の後はパネルディスカッションです。私は第2会場に参加しました。

テーマは「脱炭素化で【未来世代につなぐ」まちづくり】
コーディネーター:早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 林 泰弘教授
コメンテーター:早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 森本章倫教授
パネリスト:岡崎市長、奈良市長、松江市長、宇都宮市長

□パネリスト松江市長
奈良時代の多々良から受け継がれた循環型社会を企業など巻き込みながら実施している。砂鉄採掘跡地を棚田にして有効に活用。江戸時代からは使い回しの文化で民藝も盛ん。松江市、銀行、電力会社とカーボンニュートラルに関する連携協定。市民によるリサイクル活動:HOYAのコンタクトレンズ、パイロットのペン、バンダイのガンプラ回収

□パネリスト岡崎市長
脱炭素の取り組み
江戸のまちのシステムを活かした脱炭素などの循環型まちづくりの推進、江戸の食と暮らしを伝承した健康寿命の延伸

岡崎市と民間企業が出資して岡崎さくら電力設立。ゴミ処理施設や市内メガソーラーで発電し市内の公共施設や学校等に供給している。民間企業との連携協定によって民間のノウハウを取り入れている。公用車EVカーシェアリング事業、LFD照明買い替え補助金、省エネ家電買い替え補助金、再配達防止のため宅配ボックス設置の補助金等。

 

□パネリスト奈良市長
住宅都市で観光地という特徴から製造業のエネルギー消費が少ない。現在は太陽光発電がメインで今後は廃棄物を活用したボックスバイオ等に取り組みたい。ゴミ処理施設の余剰電力の広域化も検討。生ごみをエネルギー源に。

□パネリスト宇都宮市長
人口減少により次の世代が支えやすい都市構造に変えていく必要がある。我々の責任は今いかに社会をいかに作るか。宇都宮が掲げたのはスーパースマートシティ。そのためには地域経済循環、地域共生社会、脱炭素社会がテーマである。

都市拠点は磁石(都市機能・産業・観光が集約した拠点)である。LR Tも乗り換えさえすれば自分の足で目的地にたどり着けるために。
宇都宮の脱炭素の取り組みとして宇都宮ライトパワー株式会社が挙げられる。宇都宮市、NTTアノードエナジー、東京ガス、足利銀行、栃木銀行で構成されている。宇都宮ライトパワーでごみ処理施設や家庭用太陽光等から電気を買い取りそれにより再生エネルギー100パーセントでLRTを走行させるという「ゼロカーボントランスポート」を実現している。

公共・民間施設等に太陽光発電・蓄電池等を最大限導入し、宇都宮ライトパワーによる再エネの一括調達と高度なマネジメントにより2023年度までに民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを目指す。

タクシーもEV化(今年は5台)、41億円かけてバスを全てEV化する。

LRTについて:ライトライン導入ルート(総距離14.6Km)は工業団地等へ向かう通勤者3万人により大渋滞していた。

誰もが移動しやすいまちとして運賃負担軽減の取り組み、テーマは自分の力で移動が出来て料金も利便性も上げる
ステップ1 昼バス:昼のバス運賃を1乗車あたり400円以内の上限制度を導入
ステップ2 どこ街:どこから乗っても乗り継いでも街ナカまで500円以内の乗り継ぎ割引制度を導入
ステップ3 どこどこ500円:LR T・バス・地域内交通でどこから乗ってもどこまで行っても片道500円以内の制度(導入検討中)

交通とは福祉分野であると言う言葉が刺さる。ここ最近海外ではSDGsとは言わず「ダイバーシティ&インクルージョン」と言うらしい。

□本日のめぶき 「夜の宇都宮」

前橋市議会議員 岡 正己

過去の活動報告

過去の活動報告

あかとねの日々の活動レポート

赤利根では、所属議員の活動や議会の情報について「赤利根ジャーナル」を通して皆様にお伝えしています。

お問い合わせ

お問い合わせは、下記からお願いします。

E-mail: info@akatone.net
Address: 〒371−8601 前橋市大手町二丁目12−1