2022年5月19日

自治体決算研修1日目。

市町村議会研修【2日間コース】第1回自治体決算の基本と実践〜行政評価を活用した決算審査〜のため滋賀県大津市、毎度おなじみJIAM(全国市町村国際文化研修所)へ。

以前「自治体予算を考える」という研修でもお世話になった、JIAM客員教授・武庫川女子大学 金崎 健太郎教授から「自治体決算の基本と実践」という研修を受ける。

自治体にとって決算とはなんなのか。指標の意味、審査のポイント、その意義と役割を学ぶ。自治体と企業の決算は意味が違う。企業にとって重要なのは決算であるが、自治体にとって重要なのは予算である。

・民間企業(企業会計)
作成目的は住民福祉の増進、株主総会の承認(決算)→ 事後統制(決算)重視、複式簿記 発生主義
(決算書類:賃借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書)

・自治体(官庁会計)
作成目的は利益の追求、議会の承認・認定(予算・決算) → 事前統制(予算)重視、単式簿記、現金主義
(決算書類:歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書、財務に関する調書)

自治体決算とは
1、歳入予算に対する出納の実績、歳出予算の適正な執行及びその成果を調査。その適否をみる。
2、次年度予算の執行の際の指針となる

議会としての決算は、9月議会で認定するか認定しないかという2択。仮に不認定になったとしても既に執行した収支は有効で、それにより首長は不認定の烙印を捺され政治的、道徳的責任を負うが、具体的ななにかの効果が生じるわけではない。

数字から予算通りに仕事したのかをチェックする。歳入は予算通りに入ってきたのか、その予算の効果がしっかりと出たのか。本当の目的は「予算の時に予定したいたものを実行して成果を上げたのか」成果を上げたのかをみる。

予算は1年間(3月31日までに)かけて執行する。官庁会計は現金主義なので5月末に出納が閉鎖し、6月末に入ってから処理をする。
※予算は議会によって修正ができるが決算は修正できない。不認定になっても執行した収支は有効なので次の予算の時に議論するしかない。次年度予算の執行の指標にする。この1年のギャップが議論しづらい理由のひとつになっている。

□令和4年度決算までの流れ
令和3年8月新規事業・事業見直しの検討(各部等)
令和3年9月首長トップの政策会議の実施
令和3年10月予算編成方針通知(財政課→各部局)予算要求書の提出(財政課→各部局)
令和3年12月議会 政策提言等 財政課長による査定
令和4年1月(国で決定された地方財政対策の情報収集)財政担当部局長による査定
令和4年2月首長による査定、予算案決定・発表 議会開会、予算案の議会提出
令和4年3月予算の審議(予算委員会など)予算の議決、議会閉会
令和4年4月〜予算の執行 (補正があれば各定例会で審議・議決)
令和5年4、5月出納整理期間
令和5年5月末出納閉鎖〜7月決算作業
令和5年8月決算の監査委員審査
令和5年9月議会の決算審査、議会で決算の認定
その後翌年度予算へ反映

□決算関係書類
法律で決まっている書類
・決算書(予算書に対する)
・歳入歳出事項別明細書
・実質収支に関する調書
・財産に関する調書
・証書類
・監査委員の意見
・主要な施策の成果を証明する書類※これが重要。しっかりと予算の通りに仕事したのかをみる。様式が決まっていないので各自治体でバラバラのものになっている。先進的なところは政策評価がある。公会計の書類などを出しているところもある。

決算書の様式は自治法で決まっている。予算書の横に決算の欄があり予算に対応した歳入・歳出がある。
収入までの流れ:調定→納入通知→収納
・収入済額 調定され、出納閉鎖期日(5月31日)までに納入されたもの
・不能欠損額 調定された歳入で、徴収できないと認定されたもの(債務者が無資力で履行延期の特約をし、当初の履行期限から10年以上経過し、なお無資力で弁済の見込みがない場合(施行令171の7)、債権の消滅時効(法236)など)
・収入未済額 調定されたが、出納閉鎖期日までに納入されなかったもの

「決算書から何をみるのか?そして何を議論するのか?」
予算の見積もり方を問う、どうやって見積ったのか?不用額をどう評価するのか、なぜ余ったのか?
本来であれば、余るのがわかっているのであれば補正予算で落とすべきである。

・実質収支に関する調書
決算で固まった数字によってその年度が赤字か黒字かを出す。
継続費逓次繰越額:予算の一部として、数年にわたって実施する事業について、事業名、総額、年割額を計上。当該年度で執行残が出れば、逓次繰越、数年度で執行可。(法212)
繰越明許費繰越額:予算の中で、年度内に支出を終わらない見込みのある事業について、翌年度に繰り越して支出することをあらかじめ定めた経費(法213)
事故繰越し繰越額:年度内に支出負担行為をし、避けがたい事故のため年度内に支出を終わらなかったものを翌年度に繰越して使用(法220③)
※繰越明許は1回しかできないので2回目からは事故繰越し繰越額になる。この時それは避け難い事故だったのか?がポイント。※令和2年で実質収支が赤字だったところは1団体のみ

【決算を用いた財政診断】
財務診断に活用できる資料
〈それぞれの市町村で公表〉
・財務状況の公表資料
・決算関係書類(主要な施策の成果を説明する書類、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書、財務に関する調書、監査委員意見書)
・定員・給与関係公表資料
・出資法人等の経営状況の議会報告
・行政改革に関する資料
・財務4表(賃借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書)など
〈財務省による公表〉
・財務状況資料集(財務比較分析表、ほか)
・市町村決算状況調
・全市町村の主要財務指標
・類似団体別市町村財務指数表
・給与情報等公表システム
・地方公営企業決算
・第3セクター等の状況調
・公共施設状況調 など

□普通会計について
普通会計とは、統計上、一般行政部門の会計を普通会計として整理し、その他の会計(公営事業会計)と区分
決算を比較するために作った分類。特別会計の数は自治体によって違う。

□実質収支〜歳入と歳出の収支は合っているか〜
・形式収支=歳入決算額ー歳出決算額
・実質収支=歳入決算額ー歳出決算額ー翌年度への繰越し財源※その事業を繰越ししなかったら、支出していたはずの経費に対応する財源(継続費逓次繰越額+繰越明許費繰越額+事故繰越し繰越額)
黒字か赤字化を判断する際の中心

□実質収支比率
・歳入と歳出のバランスの程度をみる
(実質収支額/標準財政規模)✖️100
標準財政規模:その自治体の標準的な一般財源の総額実質収支比率 歳入と歳出のバランスを見る
・目安として3〜5%程度が望ましいといわれている。

※黒字=使い道をしっかりと議論していないため予算が余った
※収入の中にもいろいろな収入がある。基金の取り崩しなど

単年度収支=実質収支ー前年度の実質収支
・実質収支を前年度と比較 増→その年度では現金が余った 減→その年度では現金が不足した
※単年度収支には次のような要素が加味されている
・収入増となるため現金が余る方に働くが、実質的に余る要因とは言えないもの=財政調整基金の取崩し
・収入源となるため現金が不足する方に働くが、実質的に不足する要因とは言えないもの=財政調整基金への積立、地方祭の繰り上げ償還

単年度の現金の実質的な過不足額を把握
・実質単年度収支=単年度収支+財政調整基金積立額+地方債繰上償還額−財政調整基金取り崩し額
実質単年度収支の赤字が継続していると次第に財政が危険水域へ

財政力指数はでしたっけ地帯が自分で稼ぐ力がどのくらいあるか 地方交付税を算定するときに基準財政需要学 どこの自治体でもこのくらいにサービスしたら 標準的な地動税収入×参入率(75%)

・経常収支比率
地方税、地方交付税、地方譲与税など経常的な収入である一般会計のうちどの程度が計上的な経費に取られているか

公営事業は資金不足比率を見る

決算カードからどう判断するか?
繰り出し金(一般会計から特別会計に繰り出している)一部事務組合だと負担金。
財政運営に対しての議論がしにくいのはなぜか?
・言葉が難しい
・基準がない(よっぽどは別)
・指標が動いてきたか類似団体と比べる

余った半分は基金積む。基金はありすぎても微妙、なさすぎても微妙なので計画的に。

西宮市 概要説明資料
・全体の規模感を見る。
・予算 一般財源の増減
予算の税金は見積りなので結果を抑え、理由を探っていく

税収の主力は市民税(ほとんど個人市民税)と固定資産税(徴収率もチェックする)
※固定資産税は3年に一回評価替えがある

歳出費目(目的別と性質別)
義務的経費の状況に注意うる。じわじわ増えていくと首が閉まっていくということになる
財政調整基金 と 減債基金
個々の事業の成果もみる。行政評価と決算を組み合わせる(行政評価とはお金度どう使ったかだけではなく成果がどうでたかということ)

※国税 (所得税、法人税、酒税、消費税)
先生の意見:技師・IT関係・税のプロなどは近い自治体などでシェアでもいいのでは

前橋市議会議員 岡 正己

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