2022年10月20日

第17回全国市議会議長会研究フォーラム in 長野、1日目。

第17回全国市議会議長会研究フォーラム in 長野に参加。10月19日、20日の2日間の日程。

第17回全国市議会議長会研究フォーラム、テーマは「デジタルが拓く地方都市の未来」。初日は、基調講演とパネルディスカッション、2日目は課題討議と現地視察。

第1部 基調講演
株式会社日本共創プラットフォーム 代表取締役社長 冨山和彦氏
『コロナ後の地域経済』
冨山氏は、地域経済に密着している会社を支援(お金出したりアドバイスしたり)したり、会社の再生(佐渡汽船も傘下に)なども手がけている。

コロナ後は地域経済がどうなっていくのか
・極めてチャンスが大きい
・世界的に風向きが変わってきている
と言い切る。

世界経済の歴史を見ると、アジア通貨危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナなど10年ごとに何かしら起きている。そう考えると90年代以降不安定期に入っていると言える。グローバル化は、その繋がりによって世界のどこかで起きたことが伝播してしまう時代である。実はグローバル産業は強いようで弱い。その時地産地消が価値になる。基本に戻る時代といえる。

30年間日本経済の調子が悪いのは、日本のグローバル企業の成長が止まったことによるもの。県別経済成長をみても東京都はワースト10。東京都は人口吸い込んでる割には成長しない、一人当たりGDPが下がっている、出生率も最下位という実は東京はブラックホールのように全てを飲み込んでいる。これは数字から見る現実である。

ちなみにGDPの上位は山形、茨城など農林水産業などが強い地域。ということはこの30年の日本の不振は東京の不振と言い換えることができる。

グローバル革命の中でアジアとの競争は無理である。では人手不足を自動化で補おうとすると雇用が生まれない。ここが難しい。300万台自動車つくているというのは奇跡と言ってもいい。限界がきている。

デジタル革命、コロナ禍でパナソニックの商品は売れてるがあまり儲からない。それはなぜか。素晴らしいテレビを作っていても、高いから売れない。当初のカラーテレビは高価なものであった。今は、テレビを買う需要はディスプレイとして。ネットフリックスなどのサブスクによってテレビが単なるディスプレイになり、サブスクにお金を使ってしまっている。素晴らしい画質、使い易いなどは意味がなくなってきている。これは予想がつかない変化であった。

経済の規模としては、世の中のイメージに反して、実はグローバル大企業よりもローカル経済圏の方が大きい(70%は地域密着の企業)。グローバル化が進むと、例えば自動車産業が、アメリカ → 日本 → 新興国と移り変わっていってしまう。グローバル産業として、例えばスイス製の高級時計など少量だけどニッチで先進的なもの、高付加価値なものは残る(例えばベンツはSクラスしかドイツ国内で作っていない)。パナソニックが成長するとすると海外のこれから豊かになる国をターゲットにして国際収支で頑張るしかない。

これらの状況から、実はローカル経済圏がどうなるか次第であるといえる。

ローカル経済圏の課題として
労働生産性が低いと賃金が低い、付加価値生産性を上げる、単に分配率を上げても意味がない。

冨山氏が手掛けたのもで一番苦しかったのは旅館の再生だと言う。2012年団塊の世代が大量に退職。人手が足らなくて開業できない旅館が増える。書き入れ時は仲居さんが足りない。コロナが明けると特にローカル経済圏は猛烈な人手不足となる。少子高齢化の時代の中で農林水産業含めて強烈なチャレンジが必要になる。

観光産業も物流通販もシルバー層がメインの顧客。燃料高騰などで物流は大変であるが、需要(お客さん)は減らない。例えばバスの運転手が足りなくなる。正社員よりもフリーランスの方が高いと言う状況も出てくる。

現場は疲弊している。原因としては生産性。人手が足りない。コロナの3年間でさらに少子高齢化が進んだ。では外国人人材に頼るしかないが昔ほど円が強くないので魅力的ではなく、中国沿岸部の方が高くなっている。

労働生産性どんどん上げていかないと生き残れなくなる。3人でやることを2人でやることに必死に知恵を絞ると言うこと。

どんな余地があるか?
・ヨーロッパの観光業は高い
テーブル系のサービスなどの値段が高いのは人件費が高いからである。日本もそうしなければダメだ。1泊2食で5万円くらいが普通。日本の観光業は日本の中産階級モデルに特化してしまっている。

コロナ禍によってエッセンシャルワーカーの重要性に着目したり、リモートワークなども普及した今、日本の一般的な平均的なサラリーマン通勤時間3時間を見直すこともできる。生産していない時間が3時間もあるそこで何ができるのか。

それには、徹底的に【ひたすら分ける化】と【見える化】が重要

例えばバス。収支をしっかりと見る。コツコツ収支を追求する。運転手ごとに、事故の多い、少ないなどのデータを分析する。
車内でお客が転倒する。理由は急発進、急ブレーキ。注意喚起を一言言うか言わないかでだいぶ変わる。ドラレコでしっかりと録画してデータを見せていく。

赤字なら補填すると言う補助金の仕組みも悪い
福島県の鉄道を黒字化した話。
もともと競輪に行くための需要などがあったが今は通勤、通学がメイン。バスの弱点は定時制に欠けると言うだが、逆に鉄道は定時制が強み。地方鉄道は朝と夕方の通勤、通学がメインになるので朝夕はバスは走らせず、同じ定期で乗れるようにする。

公営バスは民営化すれば黒字になる
バスロケーションシステムや、ダイナミックルーティング、オンデマンドの路線バスなど技術が進歩したことによりさまざまな課題が解決できる。例えば定時で走っているんだけど停留所を特定しないサービスなど。経済性だけで考えたらバス専用道にして電気バスが合理的である。維持費が違うし自動運転レベル4でも走行可能。

地方は平日をどうするか。平日稼働上げる人が重要。

おそらく日本は優秀は人が東京に集まりすぎている。グローバル企業になるとそこそこ優秀な人が大変になってしまうのがもったいない。人材が優秀であればローカル企業のまま世界中から招き入れられる

【よそ・ばか・わか】ものを受け入れ新陳代謝を進めていく。日本全体で人と知恵が動かないとダメ。ダイナミニズが重要。地方に溶け込む時にもと何藩だったか?と言うのも効果がある。新しい知恵、新しい血をどんどんいれていく。地方は宝の宝庫である。

第2部パネルディスカッション
コーディネーター毎日新聞論説員人羅 格氏
「地方議会のデジタル化の現状・課題と将来の可能性」
現状と課題
コロナ禍で首長の専決処分が多くなったのは必然的である。各市議会の取り組みでも濃淡があり差が出てきている。例えば取手市議会は年間50回以上オンライン会議を行なっている。

さまざまなものがオンライン化されていく中で本会議はだめで委員会はいい(本会議については、地方自治法第113条及び第 116条において定足数及び表決について規定さ れている。これらの規定における「出席」とは、現 に議場にいることと解されており、オンラインによ る方法を活用することは認められていない。・ 本会議における審議及び議決は、団体意思の決定 に直接関わる行為であり、議員の意思表明は疑義が 生じる余地のない形で行われる必要があることな どから、オンラインによる方法を活用して本会議を 開催することは、慎重に考える必要があると考えて いる。)とされている。コロナ禍により条例改定した議会は約1割。

・地方議会のデジタル化の現状・課題と将来の可能性
早稲田大学電子政府・自治体研究所教授 岩崎尚子氏
世界デジタル政府ランキングを公表するなどの活動をしている。
コロナによって変わりつつある都市計画の中にどうやってデジタルを入れていくのか、高齢社会にどうデジタルを入れ込んでいくのかが課題。背景のひとつに2040年問題がある。社会構造課題が変化していく。超高齢社会、インフラの老朽化、地方中心に企業が減る、消滅可能性都市が出てくる、慰労費が増大する等。

地方議会の課題として、人材不足、DX、 投票率の低下、なりて不足、世代・年齢の偏りなどがある。ASEANのデジタルが急激に進んでいることを考えるとコロナ明けが見えて来ているなか、元の社会に戻るのかと考えると今がデジタル化を進める最後の絶好のチャンスである
・リアルとバーチャルの融合の社会
・膨大なリアルデータ分析
議会デジタル化の目的は災害時に機能を発揮すること、住民とのコミュニケーション、コミュニティを取りまとめるなどがある。そのために必要なDXを考える必要がある。

・地方議会のデジタル化:審議のオンライン化とデジタル化への対応
東京大学 先端科学技術研究センター 牧原出氏
市民は震災の時に首長は頑張っているのに議会はどうしたという印象を持っていた。そう言う場面にこそデジタルが使える。災害時といえども電気の復旧は早い。デジタルは電気があれば使える。組織で動けない議員にはとても効果がある。 特に災害に対してオンライン議会の必要性を感じている。

地域共創リビングラボとして長野県、軽井沢、小布施と包括協定を結んでいる。 例えば高齢者の体操を測定し、バリアフリーなどに活かしていったり、 泉大津ではVRで高齢者就労のマッチングなど。使ってもらってデータが取れることを考えると、地域はバックヤードが深い。また色々な協力が得られるのも地方ならでは。
2つの課題が同時に起きている
・人口減にどう対処するか
・新型コロナウイルス感染症にどう立ち向かうか
その時何が必要か
1破壊的イノベーションへの期待(AI、VRなど)
2未来社会論としての性格
3情報システムの問題は県域連携と結びついて議論
システムを標準化して連携を促進することで地域の未来を予測できる。
技術革新のリテラシーが求められている。そのためには意識改革が必要。数値目標がデータになりキャッチアップすることが求められている。業務改革が必要であるが間違いのないようにするのとは違う。トライアンドエラーはある。
オンライン開催のための条例改正したところもある。その違いは何か。住民ベースで考えるとどうかということだと思う。デジタル化で一番進んだのは職員同士のチャットである。小技大技を効かせる必要がある。

海外の状況は?
例えばイングランド。ロンドン、リバプールはロックダウンした。その時、全面オンラインに切り替えた。現在はハイブリットを求める声が大きい。

さまざまな状況下で練習を続けることが有効。オンラインに移行したときに議長の議事の進行能力が重要になるので普段から実施していないとできない。細かい情報を公開して行う。

・議会のデジタル化
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究所 湯浅 墾道氏
自治体のシステムの標準化が求められている。
デジタルな議会の反対とはハードウエアを入れることではない。問題なのは個々の議員の活動ではなくて全体での活動のデータがないこと。それはエビデンスがないこととイコール。
例えば紙を廃止すればいいのか。どこかかまではデジタルだったはずのデータが最後に紙に出力されるというアナログになってしまっている。

議会とは、本会議と委員会だけではない。これらのデジタル化を進めていく、つまり一体化で進める必要がある。法令序の制約があるが改正すれば良いのだ。
心配なのはセキュリティ。問題はあるが災害、パンデミック、危機全体に対して物理的な問題に一体的に考えていく。

セキュリティはデジタル化だけの問題ではない。個人情報保護条例の改正が行われている。一番大きな変更点は議会は個人情報保護の対象から外れるということ。議会として自立して条例制定しないといけない。

・長野市議会 寺沢 さゆり議長
投票率の低下など住民が地方自治に興味がないというのが問題である。資料の電子化だけでなく議会活動そのものをデジタル化している。オンライン開催を進めていくことで誰もが議員になりやすい環境になるのではないか。
長野市のデジタル化の取り組み
1採決システムの導入
2常任委員会の中継(録画)
3議会活動にタブレット端末導入
4市民都議会の意見交換会(オンライン開催)
5委員会のオンライン開催

□議会運営のデジタル化 議会と住民のコミュニケーションの促進
・岩崎氏
議会運営のデジタル化:民間企業選考事例
省力化がテーマ。上場企業の株主総会がハイブリットもしくはオンライン化されていることを考えると住民がオブザーバー出席するなど、住民が利活用できるのかという視点も大事。

・牧原氏
出席要件と技術革新
議場のリアリティとバーチャルのリアリティの差は今後縮小していく。議会報告会はハイブリットが望ましい。イングランドの事例は、字幕が入る、その議題に合わせた資料が乗っかっているなど見せ方も工夫できる。
議員会館は国会と(中で回線で)繋がっている。入り方のコントロールは課題。オンラインにどこで入るかをコントロールする必要がある。
防災DXが進んでいる徳島県の南町のアプリは使いやすい。この使いやすさがポイント。なぜ他の地域で進まないのか。市民が行政に期待していないのと、日本は対面の行政の水準が高すぎる。これと同じ水準をオンラインで求められても無理がある。外国はサービスが悪く休憩が多かったりするのでむしろオンラインの方がサービスが良いとなる。
その国その国の特性に合わせてできることろからデジタル化を目指す。

・湯浅氏
できるところとできないところを認識する。本会議はダメだが委員会は実績がある。議会とは非公式や慣例に基づいているものが非常に多いのでこの部分からデジタル化していくべき。
デジタル化に対して悲観的な人もいる。その時のスローガンは「危機に強い議会にしよう!」というもの。
デジタル化が進むことで議会と住民との関係を再構築することもできる。今は、議会側からの一方通行である。デジタル化を進めることで双方向になる。住民と議会の協働をハードル下げることで議会とは、議員とはを理解してもらうことになりそれが選挙への関心につながるとなりて不足の解消等につながっていく。議会の持っている様々なものをデジタリ化していくイメージ。

・長野氏
はじめて開催したオンライン報告会では91.7%が初めて参加したと回答。
議会デジタル化することへの提言によって議会としてこの流れを加速していくという道標になる。
1やって何になるのという人がいなくなる
2できることからやっていく。うまくいかなくてもやり直せばいい
3事務局に精通している人がいると進む、市議会同士の連携や県市議会議長会なども有効

・岩崎氏
有事と平時を同じに考える。議会BCP計画を策定する。デジタル人材の育成も課題。議会の運営にも詳し区なければならないがシステム作ることもできる。レイヤー別にどういった人材が必要なのかを考える。研修制度を設ける。議会アプリ等も可能性がある。女性の割合を増やすこと。議会の多様性を進める。精度と機能を成熟させていく。
重要なこととして、今はデジタル社会、超高齢社会、グローバル社会であり課題が山積みである。その時に強力なリーダーシップによって、地域社会の経済格差や情報格差をなくすことができると思う。

・牧原氏
鍵になるのは人材育成である。市役所の職員にSE出身がいることが多い。市議会の関係者でもいるかもしれない。シビックテックが求められている。色々な市に対応して使えるアプリも有効。せめて議長専用アプリを議長会で開発してもいいかもしれない。市長側がアプリ化を進めるのも有効である。

・湯浅氏
1市議会や市全体的に見てセキュリティを考える。もれちゃいけない情報(成立していない予算等)とそうで無いものがあるのではないか。そもそも秘密にしなければならないのかを考える
2やれることろからやる。議員同士の討議等
3アバターホログラムロボットを使う時代がそこまで来ている

・寺澤氏
・デジタル化することで多様な人材に興味を持っていただける
・先進市の状況を参考にする

まとめとしては、地方議会の生産性を高めるために道具としてデジタルを使う。

・質問 回答 牧原氏
Q:なぜオンラインで本会議が開けないのか?
A:出席という文言がある。これは対面なのか見解が割れている。国会では認めないとなっているので地方議会もそれに準じている。東京都はオンライン対応している。実績が変えていく世界であるので地方からどんどん変えていくべきである。

□本日のめぶき「旅先BARBER 長野編」

地域の情報補給は現地の床屋で。1時間早く長野に入り久しぶりの旅先BARBER、ヘアーサロンノブ。長野の情報と市民、事業者が感じる課題等をひとしきり確認。「群馬よく行きます、いいところですよね〜」とかなり群馬大好きなノブさんでした。

前橋市議会議員 岡 正己

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