2022年10月21日

全国市議会議長会研究フォーラム2日目。

全国市議会議長会研究フォーラム2日目。午前中は課題討議、午後は行政視察。

□課題討議
コーディネーター慶應義塾大学 谷口氏、事例報告は取手市議会議長 金澤氏、可児市議会議長 板津氏、西脇市議会議員 林氏の3名。

□地方議会のデジタル化
1議会のデジタル化とは
(1)議会活動のデジタル化
(2)議会と社会を結ぶデジタル化(住民に伝わらないデジタル化は意味がない)
のふたつが挙げられる。

2デジタル化時代における住民との関係構築
・単方向コミュニケーション 議会中継やHP 配信等、中にはフォーマルなものとインフォーマルなものがある
・双方向コミュニケーション 例えばワークショップや意見交換会、SNSに意見を書き込める等がある
※窓口をデジタル化すると住民に伝わりやすい。オンライン併用でも可。

3議会のオープン化(データ提供する)
(1)オープンデータと市民社会
国も推奨しているがオープンデータと市民の距離感がある。シビックテックは今後も成長が見込まれている。DXしろと言ってもお金も人もいないのが現実。市民のテクノロジーや技術者に頼って(例:コードフォーアメリカなど)プラットフォームを提供してもらうことも有効。
(2)可能性と課題
民主主義のバージョンアップの機会である。ハードやツールを使いこなしてコミュニケーションの高度化を図る。

□取手市議会の取り組み 金澤氏
東京のベットタウン。利根川渡れば我孫子市という立地で議員定数は24人。ICTを活用し、いつでも・どこでも議会の権能を維持向上させる取り組みを行なっている。コロナ禍でもICTを活用して議会の機能を維持した。
1オンライン会議
50を超える公式会議をオンラインで行い、非公式の会議も50回以上行った。感染症対策会議もオンラインで行う。

2オンライン事前議案説明
Youtubeと議事録で確認できる。

3現地視察
例えば市内の体育館の歪み。補修の予算の際にバスケットゴールの重さによって沈んでしまった体育館をオンラインで確認。委員会のYoutubeで上がっている。職員3人で説明し議員はオンラインで聞いている。動画にして8分だが十分な確認が取れた。

障害者団体との意見交換の中で車椅子で入れない箇所を事務局職員が360度カメラによってグーグルマップのようにどこでもみれるようにした。

4公聴広報
相手に合わせて行うことが重要

5災害時
議員が災害情報を集めて共有する

6オンライン研修

7ペーパーレス
時間削減のため

議会におけるICT化のメリットは?
メリットしか感じていない。自宅で参加できることによって親の介護しながらでも参加できる。また急な会議も開催できる。これは市域が広い場所には特に有効。なりて不足解消にもつながると考えている。

採決システムが古く交換に1,000万円かかるということになりそれであればアプリで対応することになった。アプリの採決システム(東京インタープレイス サイドブックス)は年間36万円で使用できる。

議会中継をAI認識と連動させているので字幕も出る。参加会議規則を改訂する上では慎重に進めた。医療従事者、PTAなどとオンライン意見交換を行うこともできた。今後は公民館のWi-Fiが整備される予定。

・議会のICT化のパッケージ化
会議録視覚化システムがある。AIがまとめている。発言が多い言葉をオレンジで表示したり、議員ごとに発言の検索ができる。

□可児市議会
人口10万で名古屋市のベットタウン。7.8%は外国人。
議会報告会のオンライン化の取り組み
議員間の情報活用
議会改革の取り組み

平成20年から年2回議会報告会を行っている。令和2から完全にオンラインに移行。平成23年の10月にグループウエアを活用した議員間の意見交換を実施。オンライン議会報告会は市民の意見を聞く機会の充実につながった。来月の下旬からインスタグラムも開始する。

議論の充実
・一般質問
・反問権
・自由討議(予算決算委員会)
・議場モニター(資料を投影、見える化)

正副議長立候補制度があり所信表明演説を行い質問、投票という流れになっている。議会報告会は意見聴取・反映のサイクルで春(予算)と秋(決算)行う。市民の意見を所管事務調査に加えたり、予算決算では全会一致になったものをあげる。

議会報告会実施部会や広報部会など部会制になっていて、広報部会では、議会だより、ケーブルテレビ、コミュニティFM、 フェイスブック、回覧板、チラシ等でP Rを検討している。

報告会では、議会だよりを使って予算決算を説明しグループディスカッションで説明していく。各地区センター単位で実施し常任委員会単位で報告会を行う。これは彦根市議会をTTP(徹底的にパクったもの)。コロナになって ハイブリットで各種団体との懇談会を行っている。建設市民委員会と建設業連合会など。

グループウエアを使用して委員会資料や様式を上げておいて逐次DLする。また、事前審査に当たらないように意見交換も行う。議会グループウエアの閲覧習慣を定着化した。今後はアプリ化も課題である。

□西脇市議会
議会DXへの取り組み
8月にテストして9月にオンライン委員会を開催。災害と一緒で訓練をやっておくことが重要。議会のどの部分に、ICTをなんのために入れていくのかを考える。

なぜ議会改革が必要になったのか。平成20年に議員定数を4名削除する議案を議会が否決した。そのためにはしっかりとやらないと。令和3年10月の選挙では16名の枠に7名の新人が出馬した。

議員活動の中のどの部分をICT化していくのか?
委員会主義の中でどこで合意形成していくのか。決算審査から政策提言につなげる時に。住民の声はどこで取り入れていくのか。課題交換を常任委員会で行い、予算公聴会で予算にも市民の意見を入れていく。

コロナによって議会の機能不全が起きた。そのためオンラインに移行した。
昼間委員会を2つに分けて空き家の調査をして、夜にZOOMを使って非公式のオンライン委員会を開く(委員会のスケジュールは決まっている)。新議場によってICT機器がリニューアルされたことでプレゼンテーションのような一般質問が行われるようになった。行政も議会もDXして行かねければならない。 議会DXとは議会の効率化、多様化した民意の集約、情報の共有、住民参画、議会の機能向上、住民福祉の向上のために行われる。

合意形成がなぜできるはなぜかのか?
定数24のうち女性7名でチーム議会で取り組んでいくという土壌がある。
アイデアはどこから?
事務局と議会が同じ目線で考えている。事務局からの提言を積極的に受け入れている。連携を蜜にしている。

□可児市議会
高校生議会を毎年開催することで若い世代の意見を聴取している。最近の動向として実はタブレットじゃなくてノートパソコンを使っていく人が多い。今後はノートパソコンであると感じている。ヒューマンスケール的にもその方がいい。リースかなんかでできないかと考えている。ツールや技術の進歩は必要だけどそれって本質なのかという問いが刺さる。

□西脇市議会
オンライン視察を議員有志で行った。オンラインだと時間と距離を超越できる。遠い人は近くなる、近い人は遠くなるという現象が起きる。課題としては受け入れ側はメリットがないこと。議会と語ろう会をオンラインで実施。いつも来ない若い人がきた。意見を反映させるためグーグルアンケートフォームを使用、アンケート回収もいい。

副議長が広報広聴特別委員長を担う。オンライン予算公聴会の開催を議会条例に明記。予算審査前に市民に教えてもらう立場で臨む。対象事業説明シートを委員長が2日間で作る。広報広聴の戦略を持たないといけないという課題が出た。解析ツールは使える。

□取手市議会
50を超える議会が視察に訪れた。市民との意見交換会の顔ぶれが一緒という課題があった。委員会をオンラインで開催することで無関心層へのアプローチを行う。オンライン本会議を可能とするよう各議会からの自治法改正を意見書として求めていく必要を感じている。取手市は過去3回意見書を出している。議論は場所ではないということを地方から大きなうねりをあげることで訴えていきたい。

習うより慣れろでやっていくとデータが蓄積されていく。そのデータを共有する。TTPするためにはデータが必要。全国の市議会が見れるようにオープンデータ化する。議会だけがDXしてもしょうがない。PDF化されただけでは意味がない(柏崎市のデジタル予算書)ことを研究する。自治体として取り組んでほしい。

□取手市
バーチャル背景を推奨していたがぼかし機能を許可している。災害時などでプライバシー保護の意味もある。ネット環境は、自身で努力するしかない。鳥山町議会は議会基本条例 に反問権を位置付けた。

【行政視察Cコース】
長野市:善光寺表参道 門前を活かした中心市街地によるまちづくり 視察

中心市街地活性化の一環として、善光寺表参道を中心とした地区の視察。善光寺は年間700万人の参拝者が訪れる言わずと知れた観光地。駅から善光寺までの約1.8kmは善光寺表参道とも呼ばれ、商業施設が立ち並んでいる。最近では歴史的建造物をリノベーションした店舗などが増えてきて中心市街地活性化に寄与している。

ぱてぃお大門の概要 株式会社まちづくり長野 商工会議所中心の会社

善光寺表参道にある土偶など歴史的建造物を修復した施設。国からの事業計画の認定とリノベーション補助金のどな交付を受けて整備した空き家活用による商店街活性化の先駆的な施設。長野市も21%株を所有し、11の商店街からも出資を受けた。

常務取締役/タウンマネージャー 越原照夫氏
経産省の補助金を使用した。大きな道路の関係でお客さんが来ない可能性があり、まちの回遊性持たせるために17年前にできた。現在は16、17店舗入っている。定期借地で借りている。(20年、その後も更新できる予定)

株式会社まちづくり長野の主な事業として、商業施設管理事業、商店街活性化支援事業、長野市中心市街地活性化協議会事務局、指定管理業、共同出資事業。

長野市中心でスーパーマケットの経営が難しくなってきた。中心市街地は高齢化がどんどん進んでいく。2005年11月、12棟の蔵や商家などが集積していた。コンセプトを懐かしさと新しさの共存、小さな旅気分を味わえる街として整備することに。地域の創業者のテナントが入っている。現在は3分の1は入れ替わったが成功しているといえる。

長野市人口37万人、善光寺門前町には訪問数600万人、善光寺の近くという大きなメリットを活かしていく。

この辺りはゆるやかなコミュニティが形成された空気感があって、古い建物を生かしたまちづくりの土壌があった。まちの皆さんが計画したのを引き継いだ形となった。最初の計画は、体験工房や勉強するところなどであったが、いかに家賃を稼いでまちに貢献していくかが重要である。そうしないとまちは滅びる。まちが元気に生きていくためには金にならないものは難しい。つまり税金を納めないとダメなのだ。

この辺りは大門町善光寺の参拝客で賑わう宿場町で卸問屋が軒を連ねる問屋町であった。しかし都市機能の郊外拡散に伴い衰退していった。住民有志組織(大門町わかいひとの会)長野大門会館が空き店舗(土地)取得するところから始まる。取得した土地を中庭(ぱてぃお)化して奥にある土蔵や3階建ての楼閣まで回遊可能にする。

・連担建築物設計制度を活用
国と市とまちづくり会社で行う。目的は都市の最も重要な位置にあった艇未利用地の有効活用を牽引し、善光寺の観光の広域化を支える新しい魅力拠点の形成を図ること
事業費 約5億4千万 中小商業活性化総合補助金
事業用定期借地契約(20年)を12名の地権者とやりとりした。
各テナントからは建設協力金をいただく。14年間で返済 1階40万 2階15万

・ナノグラフィカの活動
信州大学の卒業生でネオンホールを立ち上げた企画編集室。長野門前暮らしのすすめというメディア。古いコミュニティが壊れた後に新しいコミュニティが出来上がった。古い空き家のリノベが20件くらいあり、かわらばんを作ったり街並みという雑誌を作ったりしながらイベントなど様々な活動を行う。キーワードは自分達が好きな街並みを守る。特に空き家見学会の参加が多い。美大の卒業生などが豊かな暮らしを求めてきている。

新規出店実績
1992〜2009年 10軒
2010〜2011年 17軒
2012〜2014年 35軒
2015〜2018年 31軒
2019〜2022年 36軒
合計129軒 最大の特徴はローコストで行うこと。意外とお店は潰れていない。

まとめ
まちの構成要素をあるがままに保存しつつ有機的なコンセプト(例:ぱてぃお)を挿入してまちの秩序を再構築した。凍結的な「保存」でもなく断絶的な「再開発」でもない過去と現在が「融合」したまちづくりである。

前橋市議会議員 岡 正己

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