2023年8月19日

市議会議長会研修会 in 藤岡。

令和5年度群馬県市議会議長会議員研修会のため藤岡のみかぼ未来館へ。群馬県中から市議が集まってくる催しで、コロナ禍で中断されていたので久しぶりの開催となりました。以前より若干若者や女性も増えたような印象を受けました。講演をメモ的レポートにまとめておきます。

□講演
大正大学社会共生学部公共政策学科 江藤 俊昭教授
「多様な人材が参画した住民に開かれた地方議会の実現」〜「住民自治の根幹」としての議会の作動〜

江藤教授の専門は地方政治論とのことで、冒頭に「首長側ではなく議会側から政策サイクルを回す」というメッセージが発せられた。

今回の講演のポイント
・多様な人材が参画する議会
・議員自体が多様性を持つ
・多様な人材が育つ土壌

議会が開かれて育っていくのが重要とのこと。

・なぜ多様性が必要なのか
議会が地域経営を担っているので議会が変われば地域が変わる。地域が変われば日本も変わる。多様性に基づく公開と討議で議会の存在意義を示す。議会には執行権もある、実は全て議会が持っているのだ。

16年前の北海道栗山町が国の下請けからの脱却のために議会基本条例を制定。そこから議会が変わってきた。議会改革の始まりである。コロナ禍によって議会改革の到達点が炙り出された。大変な時期でも議会を止めてはいけない。議会は不要不急ではないという副産物が生まれた 。議会BCP がなくても要項はあるか。コロナ禍を無駄にしてはならない。

総務省から、議場で定数を満たしていればオンラインでの質問が可能ということが示されたが、質疑、議員間討議、評決などはできないということになっている。

議会基本条例を住民の福祉向上に活かしていけるか。福祉の増進、住民の幸せに繋がっているか。4年間の任期(通任期制)をイメージして動くことも大切。議会報告会、公聴会、参考人制度、議員間討議などを取り入れているか。ちなみに前橋市議会は全て行っていない。政策に絶対正しいはないのでメリットデメリットを討議する。それなしでは付帯決議や修正などできない。

例えばいい質問は所管事務調査に載せるなどしてもいい。いいことも悪いことも提言する。意見書報告書を議会側から出していく。ただの追認機関ではないのだ。栗山町の思いつきではない地方自治の原則が議会基本条例の中にある。多様な人たちが公開で討議することが重要。地域経営にとって大切なことは全て議会が持っている。 149号は首長の権限

 

例えば議長の定例記者会見を行うなどでもいい。万国共通議会に権限がある。議会には色々な人たちがいるが、合意が形成される場合もある。多様性に基づいて公開の場で議論されることによって世論を作り出すことができる。

議会からの政策サイクルはどのように?
4年間(任期)の目標を決めて、住民の声を聞き、所管事務にのせて調査する。地方財政に関わっている議会もある。(長野飯田市や福島の会津若松)

・予算の前に決算を!
9月議会は決算議会だが、9月から議論しても遅すぎる。6月の第2会定例会の時点で委員会で事務事業評価をする。7、8月に調査して8月下旬に拡大なのか継続なのか縮小なのかを決定していく。

決算審査の後は予算提言※住民の声を踏まえた形。そのために通年議会や追跡調査を行っている議会もある

・犬山市の事例
市民フリースピーチを定例会4回ごとにやる。議場で演壇に公募の市民(日曜日)7名が5分話し、議員からの質問を受ける。その後全員協議会でどいうやって活かしていくかを話す。例として学校の制服問題を所管の委員会で議論した上議会全体の全員の質問に変わっていく。委員長が委員会代表質問をするという流れもある。一般質問は個々の議員の提言でしかない。

「民主主義は市民の希望と参加で始まります。議会に期待してください」という言葉が印象的。

 

■住民に開かれた議会をどうやって作るか
アンケートが大事。意見交換会、議会報告会、広報(行政の報告会と同じでは意味がない)公聴、議会モニター(傍聴してもらって)、議会だよりモニター(集落から1人くらい)など様々なものがある。会津若松なども政策サポーター制度や住民によるゼミナールを導入している。

議決するのは議会だ。参考人や公聴会を多用し議員間で議論する。また専門家の意見、関係者の意見も聞くべきである。前橋市議会は討論が1人1回しかできない。これではただの意見表明だ。茨城県取出市は3回まで討論できる。提言、監視するために一般質問は必要だが中には一般質問はなくしていこうとしている議会もあるそう。若者の政治参加を促すことを自治基本条例の中に規定しているところもある。

・多様性を推進する議会の施作
政策提言に活かすだけではなくて議会の魅力を伝えていく。女性議会を取り入れているところもある。3ヶ月くらい政策を勉強して議会に提言していく。政策サポーターという制度もある。女性や若者が選挙に出やすい制度としての法改正も必要か。兼業禁止規定の緩和(個人請負300万円)など。残念なのが厚生年金。議員になるときに辞めなくてはならないのでネックになる人もいる。

■政治の劣化 成り手不足
投票率の低下 3つある
1、政策競争の欠如
2、有権者意識の希薄化
3、主権者意識の希薄化

男性優位、高年齢化を打開することが必要。そのために議員になる条件が整備されているか。女性若者など新しい層を開拓するためには。
・魅力を伝える(オンラインの活用、ハラスメント防止)
・条件(報酬、政務活動費などの改善)
・政治進出の意義(多様性の拡充)
・マイノリティの議論に着目(多様性を考える時の突破口)

女性を増やしていくのは簡単ではないので政党や団体が性別に関わる能力に応じてフォローしたり、研修機会を増やすこともできるはず。また議員と家庭の両立のため、休暇などの明文化や託児所、授乳室などのハードも大事。

政治の学校(浦幌町)、議員の学校(栗山町)などで、自治体とは?総合計画とは?予算?決算? しっかりと理解するための勉強会を開いている自治体もある。多様性を重視する条例、ハラスメント防止条例(パクリでもいい)などを制定していくのも有効。地方自治研究機構などで全国的な動きが見える。

議会の存在意義は多様性に基づく多様な意見を包括し、議会の味方を増やしていく。土壌を耕す(多様な議員が生まれやすい)仕掛けを作っていく。

前橋市議会議員 岡 正己

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