2024年4月10日

前橋令明との合同視察1日目(西尾市)。

前橋市議会会派前橋令明との2泊3日の合同視察です。初日は愛知県西尾市へ。西尾市は愛知県の北から南へ流れる矢作川流域の南端(西三河南部)に位置し、面積は161.22㎢、人口は約17万人。豊田市などが近いため自動車産業が盛んで労働者としての外国人が増えていった。現在の全児童生徒数に占める日本語指導が必要な生徒児童数は3.6%(2020年度)で、母国語の内訳は、ポルトガル語(51%)、フィリピノ語(16%)、ベトナム語(13%)と続く。

視察内容は「多文化共生教育体制について」です。

西尾市の多文化共生教育は2007年から始まりました。当時の人口の約5%が外国人で、園児の3%が外国籍(多くは日系ブラジル人でポルトガル語)であったため、教育委員会事務局子ども課ではポルトガル語通訳者を公立保育園に1人、子ども課窓口に1人配置して園便りの翻訳・保護者の通訳に対応していた。

子ども課では、外国人保護者の仕事最優先の不安定な生活により外国人児童が十分に成長発達するための語学力を母語でも日本語でも身につけることが難しく、異なる文化的背景を持つ外国人保護者が日本の教育システムに関する情報や知識に乏しいことによる子供の教育環境に対する意識の低さが高校進学率の低下につながっていることを問題視した。国籍に関係なく自分の夢を描くことができるような環境づくりに何が必要かというのが出発点。

2008年に多文化子育て支援事業を企画。外国人児童の多い私立保育園に外国人コーディーネーターを配置し、外国人育児家庭に対するアンケート・児童相談・就学説明会・日本語教室・プレスクールなどを実施。新規事業のための財源確保として愛知県フレンドシップ継承交付金(補助率10分の10)を活用。

最大の難関はコーデイネーター探し。人材派遣会社などで模索したが教育的支援ができる人材発掘ができなかったが人伝でJICAの青年海外協力隊として2年間ブラジルに日本語指導して帰国したばかりの女性を奇跡的に採用できた。

2009年からは2つの多文化共生事業を追加スタート
①多文化ルームKIBOU(現在は社会福祉法人せんねん村に業務委託)
外国にルーツを持つ子供に対する就学支援事業
②日本語初期指導教室カラフル
早期適応教室

2020年からは会計年度任用職員制度導入を機に体制を一新(多文化共生教育スーパーバイザー、対話型アセスメント導入、日本語教育指導スーパーバイザー、マルチ・カルチャー・キャンプin 佐久島、カラフルYouTube公式チャンネル開設、多言語翻訳通訳業務の見直し)した。

□多文化ルームKIBOUの取り組み 多文化共生コーディネーター川上 貴美恵氏(社会福祉法人せんねん村)

5歳から18歳までの子どもたちの日本語学習を中心として応援する取り組み。全部で、不就園クラス(園に通ってない5歳児)、不就学クラス(学校に通っていない6歳〜15歳)、過年齢クラス(学校に通っていない15歳〜18歳)、小・中学校クラス(小・中学校に通っている子)、母語教室(希望する子)、プレスクール(5歳児)、親子プレスクール(5歳児とその保護者)の7クラスに分かれている

1番の目標は「不就学をゼロに!」すること。引っ越しが多く、学校と縁がなくなってしまう子供がいるため、夕方、土日、親子プレスクールなど細かくクラス分けしている 。ブラジル出身が多く、次がベトナム、インドネシア、ネパール、中国と続く。日本と外国を行ったり来たりしているパターンもある。

16〜18歳のお子さんでどこにも行き場がない(学校も仕事もない)クラスもあり、11人が定時制や専修学校などに進めた。(就職に有利)多言語の就学説明会を毎年夏に実施している。7〜8言語に翻訳して、親御さんから意見をもらいながら改良している。例えば、長い休みがある、給食ない日がある、給食費の引き落としがある、時間割があるなど日本の学校では当然だと思われるものも丁寧に説明していく。コロナ禍で集まれない時期は就学案内の動画を見せた。

学校に行ける体制が整ったら KARAFULに移行する。

□KARAFUL(西尾市早期適応教室)
語学相談していた菊池先生をヘッドハンティングして、西尾市立鶴城小学校内に来日直後の児童生徒を対象に学籍のある学校に定期的に通いながら最長3ヶ月、学校生活に必要な基本的生活習慣、日本語指導や教科学習の導入などを行う。木曜日以外はカラフルで木曜日だけは在籍校に通う。目指しているのは在籍校で強みを活かして輝くこと、自分で考えられるようになること。母国語もしっかり忘れない様にする(本を読む)ことも重要。

カラフルの授業は一斉授業を意識したものに。学校の授業、在籍校と相談しながら日本の文化を知り、文化の違いをすり合わせる。授業はもちろん、プレスクールで保護者の意識を高めた。夏休み、普通科の学校であったり外国ルーツの子供達の説明会で先輩の話を聞かせるなどが効果的。学校に行かなければいけないということを継続することが希望の職業の就職につながり、日本を支える存在になっていく。

□質問
Q:日本語が話せない親御さんとの意思疎通は?
A:PTA総会には支援員を派遣し、トランシーバーで多言語対応する。 SNSを利用して支援員に繋ぐ。不登校になってしまう前に学校とはつながらなくてもカラフルの支援員と繋がる。SNSで優しい日本語、グーグル翻訳なども使いながら対応する。家庭訪問などもする。電話よりは対面で。優しい日本語は大事で、信頼関係を構築していく

Q:3ヶ月で足りるのか?延長したりとか?
A:支援員のレベルが高いので3ヶ月で大丈夫。ケースバイケースだが、ある程度のところで日本の学校に行って日本語のシャワーを浴びせる。子供達は1ヶ月で慣れるが3ヶ月間でそれぞれの教科の導入までできる。暗い的には試験範囲の勉強の仕方なども

課題として概念を形成する場面がどちらの言葉かというのが挙げられる。母語を否定せず、どっちのルーツも大切にしてアイデンティティを作っていく。iPadなどを使用してコミュニケーションやゲーム感覚で取り組むのは興味をひけるので有効。市として「すぐーる」という多言語対応の連絡ツールがあり、市HPには目的別検索のなかに多言語の学校の言葉検索がある。

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