2024年11月2日
まちは文化の農場だ。
第2会場パネルディスカッション「芸術文化が創るまちの未来」

【コーディネーター:秋田公立美術大学 美術学部 教授 藤 浩志氏】
【コメンテーター:芸術文化観光専門職大学 学長 平田オリザ氏】
【パネリスト:八戸市長、水戸市長、金沢市長】
最初にコーディネーターの藤氏から。
生きづらいこの時代に、個人としても団体としても芸術文化は必要である。芸術文化とは生きるための方法であり、希望を作り出す手法であり、どう生き抜いていくのかに大きく関わっている問題。伝統を守るということだけではなく、新しい活動を作る仕組みを行政がどのようにやっていたのかが参考になる。
□八戸市長
多文化都市八戸推進会議によって地域課題をアートの力で解決する。そのために文化施策、観光まちづくり、福祉、教育などの他分野と連携した。
中心市街地に多目的な施設を集積させた(ハードによる効果)。八戸ポータルミュージアム「はっち」観光文化交流施設で市民にとっての披露の場。年間来場者80万人。八戸東高校に表現科という科ができた。八戸ブックセンターの年間来場者は11万人で地元書店のハブとなることが目的。年に1度八戸ブックフェスを開催。マイブック推進事業なども行っている。
・八戸市美術館(特徴はジャイアントルーム)
維持管理コストなどをみえる化している。市民力をどう作っていくのかに力を入れている。まちの中心に美術館を据え置くことで変わっていったという。子育て子供政策が充実している。具体的には今ある文化施設の有効活用。
□水戸市長
芸術で彩る街の光と影という内容。芸術文化のブランドを持ったからこそ負の部分もあるということだった。まちの象徴的な存在である水戸芸術館は1990年3月22日に開館した。当時は反対運動もあったとのこと。貸し館は一切やらず、自主企画しかやらないという特徴で先端性を出している。音楽演劇美術の専用施設もあり専属の楽団、劇団もいる。開館当時に財団による運営と市の一般会計の1%以内に収めるという決め事がある。
1、質の高い芸術文化の提供
2、水戸ならではの芸術教育(吹奏楽のレベルが上がった、キャリア教育につながった等)
3、効果的な普及啓発活動
影の部分として、お金がかかっているということが真っ先に挙げられていた。一般会計の0.51%とはいえ9億円の財政負担が発生している。入館者数が14万人の芸術館は9億かかっている。それゆえに市民への見える化と説明が必要になる。しかし芸術文化はお金では推しはかれない部分があるのは事実。
市民からは自分達が使えないという不満があり、35年経っているのに理解促進が課題。90年代なかばから現代美術をテーマに、この時代で旬なのもを、市民が最も見てほしいものを展示するというハイコンテクストな世界に届くものをテーマにやってきた。若者は、地方には娯楽がないといい、自分達が楽しめる場所を求めている。では行政がどうすればいいのか。人を作っていく、ソフト事業を作っていく。ハードは揃っているので人づくりから新たな文化の若者が楽しめる場を作っていくことが必要。
□金沢市長
美術館の準備段階から未来を拓く世界の芸術文化都市を目指していた。文化は市の施策の横軸である。金沢市は文化に対しての事業費が第1位(美術館運営、大学などは入っていない)。14億円を投資している。特徴はこの予算に対して市議会全会一致で認めている点。文化を前田利家が奨励した部分にもつながっているとのこと。昔から芸術文化の土壌がしっかりとしている。金沢美術工芸大学もその特徴のひとつ。戦争の2ヶ月後には美術展を行っていたという歴史もある。
金沢21世紀美術館は自分でいい悪いを判断する美術館である。文化の自己決定力、自分の言葉で語れることが重要。多層多な仕掛けがされていることで新しい人材を育てて、新しい活動が作られていく。芸術家が増えていくと色々なものがお洒落になってくる。保育園などにアーティスト派遣するなど、文化の支援を子育てや教育に掛け算していくことができる。
□平田氏コメント
・芸術文化とは社会包摂的な機能であり人間を孤立させない政策である
八戸の「はっち」が成功した。当時の最先端でだった。何かで誰かがつながっているという強固な共同体ではない緩やかなネットワーク社会にうけた。2700件のワークショップの集合体によって、必ず誰かと誰かがつながることで自分が知っている社会を作る
・子供の体験格差の問題 (文化かくさ)
数字に表されない非認知スキルは家に蔵書があるか、博物館、美術館に連れていっているかなどが重要になる。中核市は文化格差が起きやすい。理由として子供だけでコンサートなどに行けないなど。体験格差が広がってしまう。この体験格差を埋めるのは行政の力で可能である。自制心が高い子供を育てるためには教育・芸術文化などに力を入れる。結果的に事前分配の方がコストが低く済む。ただ結果が出るのは30年以上かかる。
・若者・特に女性に選ばれる街として図書館が重要。絵本が充実(図書館は文化制作の顔)・文化制作が充実していないと若い世代は移ってこない。
・人口減少対策としてアートによってシビックプライドを作ってきたと考えると水戸はアートの先進地域といえる。市民が自分のまちの独自性、ポートフォリオとして何が自分のまちの魅力なのかを理解することが必要。次の世代が新しい文化を作っていくコミュニティづくりに役立っている。
・アートは明日どういう人間が必要なのかを表している。芸術系の大学はその地域をお洒落にする。若者が欲しがるラインドワンやイオンはには新しい出会いがない。劇場、美術館などの偶然の出会いが必要とされている。
特に最近の最適化された社会では自分に合った人としか出会えないが、美術館などは偶然の出会いが保障されている。偶然の出会いを確率的に高めていくことがその地域の文化を高めていく。
・女性に選ばれる街として、子育て支援や子供を産んでも働ける環境などと言われるが、働かせる前提がそこにはある。結婚しても出産しても遊び続けられる社会というのが重要なのではないか。豊岡市図書館では託児を行っている。親の人生を大事にするためにも芸術文化活動は大事。
新しい物事が発生すると 応援する人など人の繋がり(FAN)によってコミュニティができてくる。何かを作ろうとする人が集まってくる状況がある。
現代の人々は消費するだけの生活に慣れている。自分で作ろうとしない。まちは文化の農場なのだ。どんどん新しいものになってくる。文化とは暮らしぶりの相対的なものでそれがどうやって次の世代に繋がるのかが重要。
・岡山県奈義町の事例
第3の美術館を目指し、常設の体験できる作品(タレルなど)がある。常設の作品の必要性を感じる。常設の作品は観光者に響く。常設ではないと観光パンフなどにな載せられない。
・水戸の事例
批判された2,000人のホールの利用率が高く、観光にもつながっている。東京に行かなくても観れるという市民の評価がある。指定管理者と相談しながら企画内容などで新たな展開を模索。
子供たちの居場所活動する子供ミュージカルスクールの効果が出ている。学校を超えた枠で出会える。受講生を教える立場になってつながっている好事例といえる
コンテンツ産業、知的財産をどう作っていくのかが課題。コンテンツ次第では収益、吸引力につながる。
文化とは芸術を常識を超えていくもの。ありとあらゆるものが超えていくもの。地域をこえ、常識を越える。それをどう作っていくのか。
いろんなコンテンツが複合的な状態で超えて複合していくことで新し価値が創造される。
文化観光は大きなジャンルである。文化制作と観光政策は別の省庁になっている。リピートのためには、コンテンツ、食など文化観光が重要。そのためにはお祭りなどのシーズンが限定されるものではなくて通年集客を可能にすることが有効。
季節を自分で選べる イベント以外での集客を考えた時に常設展示で体験できる作品などがあることで季節を越えられるのではないかと考える。
中核市サミットin秋田 2日目行政視察Aコース
「歴史と文化を生かしたまちづくり(城下町と新屋編)」
秋田市新屋ガラス工房・新屋地区散策〜ねぶり流し館〜昼食〜秋田市立赤れんが郷土館〜秋田駅
秋田市新屋ガラス工房

元々ガラス工芸が盛んであった訳ではなく、秋田公立美術大学ができたことによってこの地域に新たな産業として設置された施設。美術大学の卒業生などの受け入れ先になっている。人を作って地域を作っている事例。
ねぶり流し館

竿燈祭りの常設展示。「ねぶり」とは「ねむい」の意味で「ねぶり流し」とはねむくならないようにという意味だそう。眠いというのは死を連想させるネガティブなものだからのようです。
勝平得之生誕120年記念企画展「秋田の四季〜創作版画家 勝平得之展」

何色もの版を細かく掘り表現された秋田の風景は唯一無二でした。勝平得之氏を存じ上げませんでしたが秋田が誇るべき作家であると感じました。



