2019年10月31日

第14回全国市議会議長会研究フォーラム in 高知 1日目。

「第14回全国市議会議長会研究フォーラム in 高知」が2日間の日程で開催され、全国から市議会議員が約2,200人集まる。

いきなりのトラブル(後日投稿)でなんとかたどり着いた高知市。前橋からは四国の中でも一番遠い位置にあることを思い知った。会場は高知ぢばさんセンターという場所。初日は、基調講演とパネルディスカッション。

基調講演は、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授 中島 岳志氏による「現代政治のマトリクスーリベラル保守という可能性」。中島氏は『リベラル保守宣言』(新潮文庫)などの著書である。専門的な部分が多いが、歴史的背景を踏まえて現状を掘り下げていてとても興味深い。政治のマトリクスの縦軸に配分を巡る軸を置き、横軸に価値をめぐる軸を置く。縦軸の配分をめぐる軸とは、リスクの社会化とリスクの個人化で対比される。横軸の価値をめぐる軸とは、リベラルとパターナルで対比される。様々な社会情勢の変化によりその中の座標は変わる。歴史的な出来事からも、政治とは物語を設定することが重要である。なぜ?いま?人々の心を動かすには理由が必要だからだ。保守とリベラルの本来の意味と、現在の意味は変化している。カール・マンハイムは「保守と呼ばれる主義の中にも、自然的保守主義と近代的保守主義があり、普遍的な人間の本性としての保守と、ひとつの特殊な歴史的・近代的現象としての保守を区別する」としている。

ニーバーの祈り
「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ、帰ることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできないものと、変えることができないものとを、識別する知恵を与えたまえ」なるほどその通りだ。識別する知恵というのは勉強によって得られる知識だろう。

私たちの現在は、膨大な過去の蓄積・知的財産の上に成立している。「改革」とは過去から相続した歴史的財産に対する永遠の微調整という言葉が染みる。

パネルディスカッションは「議会活性化のための船中八策」と題し、コーディネーターを朝日新聞論説委員の坪井ゆづる氏が務め、パネリストは、市町村職員中央研修所学長の髙部 正男氏、株式会社コラボラボ代表取締役/お茶の水女子大学客員准教授の横田 響子 氏、高松丸亀町商店街振興組合理事長の古川 康造 氏、開催市である、高知市議会議長の田鍋 剛氏の4名。

市町村職員中央研修所学長の髙部 正男氏からは、現在の市議会の現状認識や、状況の変化、今後のあり方、中長期的な制度課題や、早急に検討するべき事項などがあげられた。わかってはいる。わかってはいるのだけれどもなかなか進めないのが議会改革。だからこそこうやって全国から約2200人もの議員が集まってきているのだ。貴重講演の中の「改革」とは過去から相続した歴史的財産に対する永遠の微調整という言葉がここでも染みる。

株式会社コラボラボ代表取締役/お茶の水女子大学客員准教授の横田 響子 氏からは、議会改革の具体的なアイデアとして 1、中長期視点で町の目指す方向を議論(人口減を前提に)2、ガチンコ会議を多様な人材で実施 3、経験の機会提供の3つをあげていた。1、中長期視点で町の目指す方向を議論では、未来カルテという地域の状況に関する将来推計のデータを作成してくれるサイトの紹介があった。これはとても参考になる。(前橋市のコードは10201)2040年の前橋市の姿が見えてくる。ここから何をしなければならないのかを議論する。2、ガチンコ会議を多様な人材で実施では平均年齢を40さいくらいに設定し、女性を半数以上入れ込むことで開かれた活発な議論が行われるという。3、経験の機会提供では、土日夜間など参加しやすい時間帯を設定し、中長期戦略を検討する機会や、住民参加の事業仕分け、参考人など、議会との接触機会を増やすことで興味が出る。(横田氏が会議で出くわしたキーワード・永遠のβ版=トライアンドエラーを促進するので完成形にはならない・透明化・オープン化・自前主義の脱出・内外問わず「組むことで課題解決」=協働&協創、公共私のベストミックス→コーディネーター、プロジェクトマネージャーの育成)

高松丸亀町商店街振興組合理事長の古川 康造 氏からは全国的に有名になった「高松丸亀町まちづくり戦略」について。簡単な説明は住民をベースにしたデベロッパーによるメインストリート再生計画。商店街全体のイメージから各街区にそれぞれ適した業種を入れ込んでいる。ポイントは、住宅整備とテナントミックスは車の両輪だと捉えているところ。どちらかだけでは不十分だ。これがなかなかできない。基本的な地方の商店街は1階がお店で、2階が住居という点では同じだが、住居としての機能があるのでお店が入れ替わることができない。その点、丸亀町は、細分化してしまった土地を定期借地により土地の所有と利用を分断し、まちづくり会社が商業床を一体的にマネジメントした。簡単にいうと、土地所有者がバラバラだったものを定期借地により一体的に開発し、1階を商業床、2階部分をコミュニティ施設等、その上の部分を分譲住宅とする構造。新しい商店街の形をめざすその取り組みは多岐にわたり抜かりが無い。取り組んでいく中で商店街の役割は連携の「ステージ作り」であるとしている。「向こう100年を見据えて」という古川氏の寄稿文の中に再開発成功の大前提はコミュニティの現存とある。丸亀町の計画を作る際に、まず着手したのは全国の再開発の失敗事例の調査研究だという。そこから導き出された法則は、駅前の一等地が衰退すると、行政が再開発に乗り出す。地上げをし、新しいビルを建てて核となるテナントを招致する。それを請け負うのはデベロッパー。ビルを竣工し、テナントを誘致した段階で報酬を経て去っていく。ところが、そもそも再開発を行うのは衰退した場所だからであり、満足な業績があげられずにテナントは数年で撤退してしまうことになる。すると、駅前にまた新しい空きビルができ、仕方なくお役所は公的な施設などで穴埋めをすることになったり、新たな土下座外交が始まることになる、という悪循環を繰り返すものになるというものだ。だからこそ、地元主導でしかまちづくりは成功しないと考え、そこにこだわってきたのだと言う。

パネルディスカッション終了後は、会場を移して意見交換会。

全体を見渡すと、市議会議員の平均がなんとなくわかる。女性が圧倒的に少なく、男性の年齢も高齢だ。議会とは地方政治、自治の主役だ。問題を解決するときに多様な観点が必要になる。それには多様な議員が必要なのは言うまでもない。

前橋市議会議員 岡 正己

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