2021年8月1日

アーツ前橋あり方。

第2回アーツ前橋あり方検討委員会。

初めに前回の会議で委員に求められたという旧2中の収蔵庫等の状況について追加説明があった。紛失した作品が置かれていたPC室の状況、紛失作品サイズなどが報告された。作品搬入時、紛失が発覚した時などに現場写真を撮影していなかった点などが指摘されていた。

PC室は、元々収蔵場所として借用していなかったこともあり、カーテンは閉めていたとはいえ温度管理などがされていない場所だったことも確認された。また、作品の前に転倒防止として不用品の入った段ボールを置いていたということも図で示されていた。研究目的の資料が置かれる場所として借用していたので、他の回収で不要になったもの(テーブル、椅子、美術部が作った作品)も一緒に置かれていた。

紛失した作品(12月17日搬入)のサイズとしては大きいもので長辺168cmで厚みは5センチ以内、木の額でガラスではなくアクリル板。6点まとめて持つことは不可能である。

作品借用の流れの説明では、学芸側で書類作成に必要な事前準備のなかでいくつかの段階を踏まずに、「〇〇先生一式」という借り方をしてしまったという部分が強調されていた。現在のアーツ前橋の収蔵庫の状況なども詳しく説明された。現在の収蔵庫の占有率は約80%となっている。展示室に対する収蔵庫面積比率は28.8%で他の美術館と比較しても決して小さくない。この大きさの根拠は100号サイズの絵画が600点収蔵できるサイズということだった。現在の収蔵作品は絵画668点うち100号以上126点、写真68点、彫刻立体36点
、メディア18点となっている。

作品の購入費は1,000万円上限で、1点に対する価格帯は16万〜350万。購入作品と寄贈の割合としては8年間で118点購入、220点寄贈となっている。1年間あたり約40点の収蔵は他の美術館と比較しても常識的な範囲である。今後、作品が入りきらない場合は外部倉庫を利用していくことも検討していく。この問題はどこの美術館でも抱えている問題である。

例えば、木箱で保存しているものの梱包をやり直したり(経費はかかる)、寄託と寄贈の受け入れを本当に必要なものだけに絞っていく、同一作家のものはさらに選択していくことなども有効である。アーツ前橋の収蔵委員会は外部委員で構成されている。

アーツ前橋の組織構造の課題として、館長、副館長(次長、係長)、事務職員・学芸員という階層構造が求められるところ、中間管理職がなく、学芸員の指示・監督が館長に集中するとともに、学芸員と事務職間の良好なコミュニケーションが十分に取られていなかったことや、組織的な構造の課題がある中で、行動規範・職業倫理から外れた行為を抑止できなかった点などが挙げられていた。また、学芸員の経験年数や雇用体制の課題なども共有された。

□再発防止に向けた意見交換
中島委員長より感じている違和感が投げかけられた。
・作品の借受に関して担当学芸員がなぜ1人で行っているのか(後に国立国際美術館 島館長より、予算の関係などで学芸員はほとんど1人で行くのが通常だと説明)
・二中へ15作品を入れた後、次に担当学芸員が目にするのに8ヶ月間かかっている
・8ヶ月間手がつけられないのはなぜか
・最初に3点がない事に気がついた後、再度調査に行くのに20日間も経っている
・移動の車中の会話が録音されている
・課長(当時の)に報告しないはずはない
・作品に対しての補完の意識が足らなすぎる
・年度内に課長を通じて紛失案件の事案が共有されていれば新年度に課長と担当の副館長が同時に移動するということはなかったのではないか

このアーツ前橋あり方検討委員会の目的としては、再発防止に向けて、適正な作品管理とガバナンスの強化について検討していくことである。そのために全4回の会議で最終的に提言としてまとめる。会議が進んでいく中であと2回でまとめられる内容ではないことが確認されてあと3回、全5回の会議となることになった。

専門的な領域は館長にあり、決定権が集約される構造にある。事故が起きたときに最低でも副市長までに共有する必要があった。部長が知っていて庁内に共有されてないことはありえないことである。これは市役所の構造的な問題か前橋市の庁内の問題である。

学芸課長に相当する役職の必要性、人事権が館長職にないこと(公立美術館なので、特別職は市長の意向で選ぶ事ができるが、一般職については選考になる。館長の意向にそいながら選考することもできる)、任期付き職員に対しての問題、リスクマネジメント、新館長人事はこのあり方検討委員会に任されているということ(最終的にはクローズドな状態での検討になる)、どんな館長がきても受け入れられる組織体制、などの意見があり各委員からそれぞれの専門的な立場で今までのアーツ前橋に対しての想いが述べられた。

あと3回で構造上の問題(人事、組織、展示・企画)に言及し、組織構成図を元に議論を深めていけば学芸員の待遇などの話にもなっていく。全5回で最終提言まで持っていく。次回は8月28日(土)に開会予定。

□本日のめぶき 「リスク対応のステップ」
① 調査:現状はどうなっているのか、関係者は誰か、誰にどう迷惑をかけたのか、違法性は等、限られた時間内で、尽くせる限りの現状把握調査を行い、情報を一元化する。
②謝罪:間違えたこと、迷惑をかけたことを自己認識し、謝罪する。責任者が行う。
③調査:被害(迷惑)の状況、関係者がどこまで及んでいるか、今後どのような波及があるか、現状を網羅的に調べ、想像力を働かせて今後の影響を度合いを把握し、“最悪の事態”までを想定する。不明確なことには言及しない。嘘はつかない。
④原因究明:なぜそうなったのか、いつからそうなったのか、その背景や遠因はなにか、を徹底的に調べる。当事者に利益相反があるなら、第3者による調査を行う。
⑤改善策:再犯を防ぐとともに、再起・再生を果たすために、全組織をあげた再発防止策、及び改善策を策定する。トップまでしっかりと認識する。
⑥処分:関係者の処分を行う。公正な処分を行う。納得性のある処分を行う。

前橋市議会議員 岡 正己

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