2021年9月10日

議会質問20分間。

令和3年第3回定例会総括質問2日目20分間の総括質問が終了。20分間は本当にあっという間である。後日、前橋市議会のホームページで録画も見ることができる。

私の質問通告は以下の通り
1 前橋市のDXについて
(1) 公共施設の電話設備
(2)電話に代わる通信手段
(3)マイナンバーカード利用促進

2 産業政策について
(1)コロナ禍の企業誘致
①サテライトオフィス誘致推進補助金の実績
②サテライトオフィス誘致推進補助金の要件拡大
(2)前橋工科大学との連携
①共同研究
②産業界との連携

3 文化芸術振興について
(1)アーツ前橋
(2)4大イベント※時間切れのため入り切らず

□原稿内容
1 前橋市のDXについて
(1)公共施設の電話設備
岡:昨日の総括質問でもよく出ていたD Xという言葉。少し前ならD Xはデラックス、つまり「豪華な」という意味として使われていたが、今やD Xといえばデジタルトランスフォーメーションのことで、このデジタルトランスフォーメーションはデジタル技術によって変化するということである。重要なのはデジタル技術は導入すればそれでいいというわけではなく、その先の変化が目的なのである。
では、自治体におけるD Xとは何を変化させていくことなのだろうか。代表的な3つとして制度、業務、組織があげられる。デジタリ技術を導入しても働き方や業務プロセス、組織構造、を変えることができなければデジタル技術は単なる負担増になる。

前橋市の最上位計画、第七次前橋市総合計画の将来都市像は新しい価値の創造都市・前橋、ヴィジョンはめぶく。新しい価値の創造は今を疑うことから始まる。

デジタル技術はマイナス技術である。マイナス技術は、コストの削減、業務の効率化などに有効だ。本市でデジタル技術によってコストの削減、業務の効率化と考えるとできそうなところがたくさんありそうだが今回は電話に焦点を絞っていきたい。

「ある時私は、控室の自分の席にて課長に連絡を取りたいと思い机の中にある職員の内線番号が載っている冊子を開き、内線番号を確認しました。そして控え室の入り口付近にある電話機のところに移動してその内線番号を押しました。そして電話の向こうで受話器を取ったのは課長ではなく「課長席です」と名乗った他の職員さんでした。私は課長と連絡を取りたい旨を伝え電話を切りました。その後私の携帯電話に課長から折り返しの電話がかかってきたのです」

この話の中にいくつのも疑うべきポイントがある。言わずもがなという感じだが、私の携帯から課長の携帯への電話ができれば、私が冊子から内線番号を探すこともなく、自分の席から部屋の入り口の電話機に移動することもなく、内線番号を押すこともなく、ましてや他の職員の方の仕事の手を止めて電話に出てもらわなくてもすむのである。

課長の携帯に電話して、もし出なければ留守電にメッセージを残して以上である。電話のたびに誰かが手を止める。総合受付など絶対に必要だと思われる場所を除き、このスマートフォンの時代において各課の固定電話の意味、意義を考え直すべきではないだろうか。

また、テレワークなどで庁舎に来なくても仕事ができるようになったとき、職員個人の携帯電話を使う場面が出てしまうことが考えられる。そのとき、現在では携帯電話には内線を飛ばすことができない。考えれば考えるほど問題が山積みだが、問題の数ほどD Xのチャンスがある。

そこで、前橋市の公共施設には多くの電話機が設置されていると思うが、今回は前橋市役所本庁舎に絞って伺う。初めに本庁舎の電話設備の状況と令和2年度の経費について伺う。

(答弁者 財務部長)
市役所本庁舎の電話設備の状況については、市役所本庁舎には電話交換機が設置されており、1つの電話回線で複数の電話機を同時に使えることと、並びに内線通話が可能となっている。市役所本庁舎の内線番号は約650番号あるが、内線通話であれば通話料金は不要となっている。また、各支所・市民サービスセンター、保健所・保健センター、消防局、水道局等の公共施設とも専用線でネットワーク構成がされており、内線通話が可能となっている。令和2年度の経費については、市役所本庁舎の電話料金は約898万円。なお、現在の電話交換機は、令和3年度末までの5年間の長期賃貸借契約を締結しており、1年間あたりの賃貸借料は、約1,194万円となっている。

岡:電話交換機というシステムで1年間あたりの賃貸借料は約1,194万円、また電話料金に関しては1年間で約898万円ということで合わせて約2,092万円ということになる。これはあくまでも本庁舎の650番号に対してということである。

この固定電話の他に本庁舎の職員に貸与されている携帯電話は76台あるとのことだった。その76台には基本料金、通話料金がかかっているのだと思う。そして経費には計上されていない各職員さんたちが自身の携帯電話を使用している場合も考えられるので本庁舎だけを考えてもかなりの額になることが分かると思う。

それに加えて、前橋市の施設は先程の答弁でもあったように各支所・市民サービスセンター、保健所・保健センター、消防局、水道局等の公共施設や、各市立学校73校がある。その全てを考えてみると相当数の電話機があり、また電話番号があり、それぞれに通話料金がかかっている。ただ現在、多額の賃貸借経費がかかっている電話交換機については内線電話が全て無料というメリットがあることのだった。

(2)電話に代わる通信手段
そこで現在の電話交換機における最大のメリット、内線電話に代わる通信手段について導入する予定はないか伺う。

(答弁者 未来創造部長)
内線電話に代わる通信手段についてである。市役所のDX化を進めるにあたり情報システムの全体最適化として、職員の働きやすい職場環境を構築することが必要であると考えている。その環境構築にあたり、内線電話を補完するものとして、ビジネスチャットなどコミュニケーションのデジタル化について検討してまいりたいと考えている。

岡:ビジネスチャットは業務効率化に効果的であると考える。デジタル技術は様々な問題を同時に解決することもある。今回私が調べたものにクラウドP B Xというものがある。クラウドPBX とは、今までのビジネスフォンとは違いインターネット上のサーバーに主装置の機能を持たせることによって、スマホやパソコンをビジネスフォンとして利⽤できる通信サービスのこと。もちろん、これまでのように置き型電話機を使うこともできる。

クラウド上のサービスからインターネット回線を使ってスマホなどの端末をすべて制御するので、外出先などどこにいても使⽤することができるも。前橋のような大きな自治体の事例はまだないようだが、福島県の南会津町はクラウドPBXを導入している。

例えば使用頻度が多い職員には携帯電話を貸与して、使用頻度が少ない職員の場合は自身の携帯にアプリを入れたもらうことで内線通話も可能になる。電話交換機のメリット、内線通話が無料という部分も疑うべきである。現在、携帯電話のかけ放題プランなどもある。それでいうと内線だけでなく外線も全て無料ということになる。

デジタル技術が進化していく中で自治体のD Xは固定電話という当たり前を疑うだけでも経費削減と職員の働き方改革を同時に行える。クラウドP B Xなどを検討する価値はあるものと考えるので調査研究をお願いする。

(3)マイナンバーカード利用促進
岡:マイナポイント事業が12月で終了となり、今後市民へのカード取得への動機付けとしてはマイナンバーカードの利用施策の充実が必要であると考える。現在のマイナンバーカードの取得動機と取得後の機能には大きなギャップを感じる。実際に私もマイナンバーカードが財布の中に入っているが使う機会はほとんどない。そこで本市独自のマイナンバーカード利用施策の状況を伺う。

(答弁者 未来政策部長)
本市独自のマイナンバーカード利活用事業の充実については、現在、乳幼児健診や予防接種の記録がスマートフォンアプリに自動連携される「母子健康情報サービス」のリニューアルを実施している。

来年度からは「親子健康情報サービス」として、カレンダー機能の追加とともに、薬剤情報の閲覧等への拡張性を持った新アプリの提供を予定している。そのほか、マイナンバーカードの普及を目的とした新規施策については、DX推進計画に基づく「マイナンバーカード普及・活用ワーキンググループ」を設置し、国の動向も注視しながら、分野横断的な視点から検討を進めていく。

岡:マイナポイント事業でマイナンバーカードを取得しなかった市民はその付与されるポイントには魅力を感じなかったと考えらる。市民にとって本当に便利な使い方が示せれば取得率は上がり市民生活の利便性も上がれば様々なメリットが考えられる。例えばsuicaのように一度使ってみると切符を買うという行為がどんなにめんどくさくてそれに時間が取られていたのかということに気がつくものもある。

医師会など他団体の協力がマストであるが、例えば各病院の診察券がマイナンバーカードにまとめられたらどうだろうか。初診の時にその病院オリジナルの紙の診察券を渡されて財布の中で何枚にも重なり、お金を持ち歩いているのか厚紙を持ち歩いているのかわからないという方もいると思う。

また、月が変わるたびに保険証を持っていかなくても、保険証の機能があるマイナンバーカードになればそれ1枚ですみます。診察券がマイナンバーにまとめられたら市民にとって利便性はかなり高い。

データとしてまとめることができればアプリで現在かかっている病院の一覧、服用している薬の一覧、次の診察予定などが確かめられたり、患者の情報を各病院間でやりとりする、またはオンライン受付などが行えれば病院での滞在時間が効果的に減らせる。何より財布の中で各病院の診察カードを探すことがなくなる。

このように市民生活に密着したメリットこそマイナンバーカードの普及を促せると考える。これはスーパーシティ構想など規制緩和がなくても医師会などとの協力によりできるとはずである。調査研究をお願いする。

D Xについて様々質問してきたが行政のような縦割りが強い組織にとってはDXを進めていくためには明確なリーダーが必要である。この部分はどこがやるのかということを綱引きしていてはいつになっても改革はできない。どこの部署にでも部局横断的に取り掛かるからD Xなのである。そういう意味では大野副市長に大きな期待している。

2 産業政策について
(1)コロナ禍の企業誘致
①サテライトオフィス誘致推進補助金の実績
岡:コロナ禍においては、工業団地などの大規模な企業誘致に加えて、小規模な事業者の誘致を推進すべきと考える。本市ではサテライトオフィスの誘致を推進するため、市外県外事業者に対してのサテライトオフィス誘致推進補助金を実施しているが、今年度の実績を伺う。

(答弁者 産業経済部長)
サテライトオフィス誘致推進補助金は、市内にテレワーク用のサテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィスを新設する市外県外事業者に対して、施設整備に係る工事費、備品購入費、賃借費などを補助する制度で、小規模な事業者に対しては、対象経費の3分の2以内で上限が100万円となっている。現時点での今年度の実績は、当初予算1,000万円に対し、県内他市の事業者に対して3件、約280万円、県外事業者に対して1件、100万円の補助金を交付決定している。4件の申請内容は、オフィスの賃借費やデスクなどのオフィス用品、テレワーク用のノートパソコンやオンライン会議用のミーティングボードなどが補助の対象となっていて、設置の目的は主に従業員の移動の負担の軽減や、市内顧客との取引に係る業務の効率化などとなっている。

2 産業政策について
(1)コロナ禍の企業誘致
②サテライトオフィス誘致推進補助金の要件拡大
岡:本補助金は、サテライトオフィス等の設置のみを対象としており、本社や支社を本市に移転する場合は活用できない。コロナ禍で首都圏から地方に注目が集まる中で、移住・定住や市内活性化を促進するためには、補助要件の拡大などにより、本社や支社を含めた誘致に積極的に取り組む必要があると考えるが、見解を伺う。

(答弁者 産業経済部長)
首都圏からの本社機能の移転については、主に製造業や物流業が対象となるが、固定資産税の課税の特例を設けて、一定期間の税負担を軽減することにより、その促進を図っているところである。一方、サテライトオフィス誘致推進補助金は、コロナ禍にある中、テレワーク用のサテライトオフィス等を整備することで、通勤負担の軽減や業務の効率化を促すとともに、市内における関係人口の創出及び移住・定住の機会の確保を図ることを目的としている。そのため、本社や支社の移転の場合は対象外としているが、指摘のとおり、コロナ禍で地方に注目が集まる中で、如何にして本市を移住先・移転先として選んでもらえるかが重要であり、そのためには補助要件の拡大も視野に入れ、先進都市の事例などを参考に検討していく。

岡:現在、小規模事業者が前橋に本社を移転し、移住したいと考えていたときにこの補助金は使えない。前橋にとっては人口が増え、税収が増える。むしろ積極的に本社・支社移転を促進していくべきである。移住・定住の機会の確保を図るということも目的の中には入っている。先日、都内で映像制作の会社を経営されている方に前橋市内を案内する機会があった。動画制作会社なのでスタジオとロケのどちらもが可能なこと、また出演者との兼ね合いで都内との距離感が本市に興味を持ってくれたポイントとのことだった。従業員2〜5人規模の会社であれば本社移転・移住も十分あり得る話である。第1回定例会の総括質問でも要望したがこのサテライトオフィス誘致促進補助金を本社、支社が移転してきた場合にも使えるように是非補助要件の拡大の検討をお願いする。

2 産業政策について
(2)前橋工科大学との連携
①共同研究
岡:前橋工科大学のような特徴のある大学があるということは様々な可能性に満ちていると感じている。前橋工科大学では、企業との連携を図り産業化へのアプローチとして企業との共同研究を実施していると思うが、現状を伺う。

(答弁者 総務部長)
前橋工科大学では、産官学連携コーディネーターを中心に、関係機関や企業との連携を強化し、共同研究を充実させることで、地域等の課題解決に取り組んでいる。また、共同研究をきっかけに地元企業等と包括連携協定を結び、地域に根差した取り組みができる体制を強化したと伺っている。令和2年度の共同研究の実績については、32件となる。
なお、前橋工科大学では、共同研究は、産業界との強い連携を築ける大きなファクターと考えているので、引き続き、連携を強化していきたいと伺っている。

②産業界との連携
岡:企業との連携は大変重要なことだと考えている。例えば共同研究などによってその学科ごとに様々な産業との関わりが持てれば前橋工科大学があるからという理由で前橋にくる企業があるかもしれない。今回の学科再編に伴う、産業界との連携について、今後の見解を伺う。

(答弁者 総務部長)
学科再編に伴う産業界との連携については、前橋工科大学では、今回の学科再編で、学生が幅広い学問に触れることにより、自分の個性を見いだし、興味のある専門教育プログラムを選択する仕組みが導入さる。このような仕組み検討にあたっては、これまで実施してきた前橋商工会議所との意見交換を通じた産業界からのニーズも踏まえ、産学の強い連携による人材育成の基盤の整備をしていきたいと伺っている。また、大学の果たすべき役割として、ICT化など産業界も時代が大きく変化する中で、地域で必要とされる人材を生み出し、地域に還元できる仕組みを構築していきたいと伺っている。

岡:学科再編に伴って今までを見直すこともできると考える。理事長が代わり、学長が代わり、学科再編が行われたこのタイミング、ぜひ、校章や、ロゴタイプ、フォントなどの変更でイメージを変えることもできる。同じMから始まる工科大学。M I T マサチューセッツ工科大学のH Pまでとはいかなくても、ホームページなどのデザインを見直すことで前橋工科大学もその魅力を受験生や産業界に向けてさらにアピールすることはできると感じている。期待している。

3 文化芸術振興について
(1)アーツ前橋
岡:現在、「アーツ前橋あり方検討委員会」では、再発防止策とあわせ、求められる館長像など今後のアーツ前橋に向けた議論が行われている。アーツ前橋あり方検討委員会は当初の予定が新型コロナウイルス感染症の影響で遅れたことに加えて、全4回だったものが全5回となり、このままいくと第5回目は10月になると認識している。10月となると来年度の予算要求の時期となる。アーツ前橋の今年度予算は大きく削減を受けた中、来年度、従来どおりの事業が継続できるのか、大きな懸念を感じている。今年1年は立て直しの期間ということで理解しているが、令和4年度事業計画の策定について、当局の考え方を伺う。

(答弁者 文化スポーツ観光部長)
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、来年度予算も厳しいものになると認識している。また、作品紛失事案が最終的に解決していないことや、あり方検討委員会での議論が終了していない中、現時点では来年度の計画を定めにくいところであるが、開館当初に掲げた理念、事業の根本的な方向性を変えるものではないと考えている。このため、再発防止に努めながら、美術館の基礎である作品収蔵管理、調査研究をしっかり行うとともに、市民に納得・満足いただける展覧会、教育普及活動、館外事業を計画したいと考えている。

※時間切れのため以下全部は入りきらず
岡:作品紛失事案が最終的に解決していないとあったが、本来であればその役割はアーツ前橋作品紛失調査委員会であったはずではないのかと感じている。そこでの調査を経てこれからの、令和4年度からのアーツ前橋を考えるためにあり方検討委員会が設置されたのではなかったのか。

コロナ禍にあって今まで以上に予算に関しては説得力が大事であると思う。なぜ今この事業が必要でこの予算が必要なのか。アーツ前橋の予算に関しては令和2年度は、展覧会事業はもちろん美術品収蔵・管理事業、地域アートプロジェクト事業、教育普及関連事業など軒並み削減されている中で、来年度のことを考えると展覧会はもちろん気になるのは作品の収蔵についてである。現在あり方委員会で見直されている大きな部分でもあり、あと2回で提言としてまとまるのだと思う。

例えば1000万円の予算が収蔵作品に充てられたとして、その場合前橋市は1000万円の予算を消費したのではなくて未来につながる1000万円分の収蔵作品、つまり財産を得ていることになる。収蔵作品は市民に対して文化を伝えるとても重要な財産でありそのための予算である。

また、展覧会のたびに新しい価値を前橋にもたらせてくれていた。館外事業や教育普及の事業などの独自の取り組みもとても意味のあるものだった。とても大変な時期であると思うが、学芸員と職員、力合わせて来年度に向けて前に進んでいただきたいと思う。

また、要望になるが、先日開かれた第3回アーツ前橋あり方検討委員会が緊急事態宣言下のためオンライン開催となり傍聴することができなかった。文部科学省の会議などはオンライン傍聴できるシステムになっている。会議がリアルタイムで公開で行われると決まっている以上、市民等傍聴者に向けてできる限りオンラインなどを駆使して公開できるように努めていただきたいと思う。

□本日のめぶき 「県立赤城公園の活性化に向けた基本構想策定業務
優先交渉事業者:株式会社スノーピーク地方創生コンサルティング

前橋市議会議員 岡 正己

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