夏を思わせる日差し。移動中の車中の温度は急上昇していた。
髪を撫で付けていたグリースも、その熱で少し溶けているようだ。

窓を開けようか、エアコンをつけようか迷う。
移動時間が短いためエアコンをつけるほどでもないがそれにしても暑い。

様々な雑務をこなしているとお昼時を過ぎていた。
前橋のまちなかはさびれていると言われるが様々な飲食店がある。
狭い範囲に様々なお店が混在している。
最近オープンしたお店から老舗と呼ばれるお店まで。

他の都市と比べると数は多く無いと思うが、前橋の中ではその範囲と種類の密度は高いと思う。

しかし密度が高くなるにつれて駐車場の問題がある。

車社会の群馬県では飲食店は駐車場が必須だと言われている。
その結果どんどん郊外型のお店が増えた。

まちなかにも駐車場があるお店がいくつかある。
今日はそんなお店の中から選ぶと決めた。

店内はお昼時を少し過ぎていたが満席で相席となった。
テーブルに見知らぬ方と２人で座る。
特に大々的に宣伝されている訳でもないのだが、メニューに冷やし中華（5月〜9月）
と記載されていた。
見知らぬ方との距離が近く、なんとも言えない空気の中「冷やし中華ってできますか？」
と控えめに伺う。

「はい、できますよ！」という返事をいただき、冷やし中華を注文した。
「冷やし中華はじめました！」と大々的に告知するお店も多い中、控えめだ。
5月1日だから告知を忘れてしまっているのか？それともあまりオススメでは無いのか？

相席のサラリーマンの前にカツ丼が置かれて店員さんが
「冷やし中華お待たせしました」と一言。

どうみてもカツ丼だ。相席に笑みがこぼれた。
店員さんも恥ずかしそうに「冷やしはこちらの方でしたね」と恥ずかしそうにしていた。

その後私のもとに、本当の冷やし中華がきた。松葉屋の冷やし中華はオススメだ。
お会計の時に「今年初めての冷やしのお客さんです。」と話しかけられた。
夏を先取りしたようで嬉しかった。

夏が近づいている。
夏がくると秋がくる。秋がくると冬がくる。冬がくると春がくる。
そしてまた、冷やし中華がやってくる。

そんなランチタイムのほっこりしたお話でした。

前橋市議会　議員　岡 正己