2019年1月26日

続・スポーツ庁。

□スポーツ施設のストック適正化
物は作れば古くなる、作った時期が重なるものも多くスポーツ施設の老朽化はお金のない地方都市にとっては喫緊の課題だ。スポーツ施設と一言で言ってもその内容は様々だ。小・中・高等学校、中等教育学校学校、特別支援学校などの各種学校等の物は学校体育・スポーツ施設と呼ばれる。またそれに加え、大学・高等専門学校体育施設、公共スポーツ施設、民間スポーツ施設などがある。

スポーツ施設の老朽化の状況は、建設年度で一律に決まるのではなく、立地環境や維持管理の状況等によって異なるが、建築後50年以上経過するスポーツ施設の割合は比較的高い水準で推移する。2033年にはスポーツ施設の6割が建築後50年以上経過したものになる。こうした状況の中、国がインフラ長寿命化基本計画(平成25年11月29日)を策定し、それに基づいて地方は行動計画として、公共施設等総合管理計画(平成28年度まで)を策定した。それに基づいて2020年度までのできるだけ早い時期に個別の施設計画を立てることになっている。

スポーツ施設のストック適正化のためのガイドラインも策定した。スポーツ基本法の、すべての国民がスポーツに親しみ楽しめる等の機会の確保(スポーツ基本法前文)、身近にスポーツに親しめる施設の整備・運用改善(スポーツ基本法12条)が背景となっている。それらを実現するためには、施設の老朽化や人口構成の変化等への計画的な対応が必須だ。そのために地方公共団体が安全なスポーツ施設を持続的に提供できるようにするのが目的である。

ガイドラインの概要は、スポーツ施設の現状を把握、スポーツ施設の特徴と考え方、地方公共団体が行う計画策定の手順柄構成される。各市区町村が策定の主体となり、平成32年までに計画期間を10年以上とするもの。基本状況の把握→施設の現状評価→スポーツ施設の環境評価→個別施設計画となる。

□地域スポーツ・コミッション
地方公共団体、スポーツ団体、民間企業等が一体となり、地域活性化に取り組み組織である「地域スポーツコミッション」等が行うスポーツによるまちづくり、地域活性化を行おうとするものへの支援事業がある。長期継続的な人的交流を図るスポーツ合宿・キャンプ誘致、通期・通年型のスポーツアクティビティ創出等の活動に対して支援を行い、スポーツによる持続的なまちづくり・地域活性化の促進を図るものだ。2019年度は武道等を活用した新規コンテンツの創出が柱の一つになっている。前橋市には剣聖、上泉伊勢守がいる。この機会に何か提案できそうである。スポーツによる持続的なまちづくり・地域活性化がテーマだ。地域への社会的効果と経済効果の側面が期待できる。社会的効果とは、スポーツのまちとしての外への発信、ローカルアイデンティティ。地域の一体感の醸成、スポーツ人口・関心層の拡大、季節・年間を通じての誘客による、従業者の雇用安定など。経済効果は、合宿参加者・スポーツツーリストの滞在に係る消費、スポーツアクティビティの参加費などである。とにかくこれからはこの「地域スポーツコミッション」の役割がとても大きくなるだろう。地域におけるスポーツによるまちづくり・地域活性化の肝である。群馬県には前橋スポーツコミッションがある。逆に、前橋しかない。お隣の栃木県には3箇所ある。前橋スポーツコミッションは2015年4月に設立された。主な取り組みとして①共催イベントの実施 ②スポーツ大会等開催助成金制度 ③オリンピック等事前キャンプ地誘致活動がある。平成30年度はスローシティ国際連盟加盟を契機としたサイクルスタンプラリーの実施、食文化を堪能するグルメ・サイクリングのイベントを実施した。今後もさらなる活動に期待したい。

□総合型地域スポーツクラブについて
多種目、多世代、多志向というスポーツクラブとしての形態により、行政でもなく、民間企業でもなく地域住民によって、自主的・主体的に運営されているもののこと。スポーツ基本法の21条にも記載されている。会費や自主事業の収入、寄付金、助成金などの多様な財源から地域住民の主体的な運営、活動により地域への様々な効果をもたらそうとするもの。その可能性はやり方次第である。全国には様々な事例が存在する。スポーツを通じた健康増進、学校との連携、子育て支援、障害者スポーツの推進など。また民間施設の活用や学校体育施設の活用などにも大きな力を発揮している。

□障害のある人のスポーツ活動推進に向けた現状と課題について
スポーツ参画人口の拡大、スポーツを通じた共生社会等を実現するために、障害者スポーツの振興に関する主な政策目標が示された。様々な環境を通じ、障害者(成人)のスポーツ実施率を週1回以上が40%程度、週3回以上が20%以上になることを目指す。柱は4つ、①スポーツをする機会、場、仲間の確保 ②スポーツを「ささえる」人の確保 ③障害者スポーツの理解促進「誘う」人の確保 ④障害者スポーツに係る負担の軽減。スポーツ実施率向上のための行動計画の中で障害者向けの取組での課題は障害者はスポーツ実施率が低く、未実施者の8割強が無関心層であるという点、これを解決するために1、自分と同じ障害を持つ人がスポーツを始めたきっかけなど、参考となるモデルを提示する 2、散歩、ウォーキングなど、気軽なものもスポーツであるとの意識の浸透を図る 3、『Special プロジェクト2020』の取組を推進する 4、障害者以外に対しても障害者スポーツ種目の体験。理解の促進を図る この4つの取組で一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現を目的とし、生活の中に自然とスポーツが取り込まれている「スポーツ・イン・ライフ」(生活の中にスポーツを)という姿を目指す。

『Special プロジェクト2020』とは2020年からの新たな特別支援教育(学校指導要領改訂)を契機に、全国の特別支援学校で、スポーツ・文化・教育活動の全国的な祭典を開催するもの。事業内容は、祭典に向けたモデル事業の実施、特別支援学校等を利用した地域における障害者スポーツの拠点づくり事業の実施、特別支援学校を対象とした全国的なスポーツ・文化大会の開催支援、全国的な普及に向けた取組。実施体制は都道府県が中心となり、特別支援学校、スポーツ関係団体、文化関係団体、地元経済団体等と連携して実行委員会を組織する。

障害者のスポーツに関する現状はどうだろうか。障害者(成人)のスポーツ実施率は微増に止まっている。障害者(7歳〜19歳)の週1回以上のスポーツ実施率は、微減しているが週3回以上の実施率は増えている。これはスポーツをする者としない者の2極化が生じている可能性を示している。障害者が参加する総合型地域スポーツクラブの割合は減少。逆に障害者スポーツ指導者数は、資格取得の機会を需実させたことで着実に増加しているという。いずれも平成33年までの目標に達するには加速させる必要がある。

現状を踏まえた取り組みと今後の展望につて。「障害者スポーツ推進プロジェクト」によりスポーツ関係者・障害者福祉関係者の連携によるみじかな場所でスポーツできる環境づくりを支援している。こちらは引き続き、地域のスポーツ施設における障害者の利用拡大に向けた取組や総合型地域スポーツクラブへの障害者の参加の促進等の支援を実施していく。

障害者のスポーツ参加に向けた障壁について調査研究を実施しているが、今後は障害者がスポーツをする上でのロールモデルの提示、障害の有無にかかわらず参加できるスポーツ大会の普及等を実施していく。また、スポーツ施設のバリアフリー化に関する支援も拡充する。

『Specialプロジェクト2020』のためのモデル事業、特別支援学校等の学校体育施設を活用した地域の障害者スポーツの拠点づくりを支援している。今後も引き続き、特別支援学校等の体育・運動部活動等の充実、特別支援学校等を拠点とした障害者の地域スポーツクラブの設立などを支援していく。また。通常学校に在籍する障害のある児童生徒のスポーツ実施環境の整備に向けた検討もしていく。

障がい者スポーツ指導者の養成講習会の拡充、特別支援学校等への障がい者スポーツ指導者の派遣等を支援している。今後は特に、日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者や学校教員等に対して障がい者スポーツ指導者資格取得を促進していく。

障害者スポーツ団体の体制整備の支援、障害者スポーツ団体を支援する企業の増加に向けた周知啓発を実施。今後は障害者スポーツ団体の体制整備への支援のほか、2020年以降を見据えた支援の在り方の検討、団体間の連携促進等を実施する。また、関係者との意見交換を行いながら、スポーツ用車いす、義足等の用具レンタル等を行う仕組みについて検討していく。

障害者スポーツ推進プロジェクトというものがある。障害者スポーツの振興を重点的に盛り込んだ「第2期スポーツ基本計画」を踏まえて障害者スポーツを推進していこうというもの。①地域の課題に対応した障害者スポーツの実施環境の整備事業 ②障害者スポーツ団体の連携及び体制整備への支援事業 ③障害者スポーツ用具活用促進事業 の3つの支援事業で対応していく。特に③については個々人の購入が容易でない障害者スポーツ用具について、過大な金銭的負担を負うことなくスポーツを始めることのできる環境を整備するための新規事業だ。

スポーツを通じた共生社会の実現。このテーマはとても大きいが実現のために着実に前に進んでいきたい。それには地域の役割がとても大きい。

前橋市議会 議員 岡 正己

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