2019年6月11日

自力本願。

前橋市議会令和元年第2回定例会、総括質問3日目23分間質問した。

質問の順番が一番最初であったので「おはようございます!」と挨拶から入る。今回の質問のテーマは「自力本願」とした。

自分の足で、自分の力で移動する。こんな当たり前のことができなくなってきている。便利という名の下に、車で移動することが本当に当たり前になり、自分の足で、自分の力で、移動することが特別でとてもめんどくさいと感じてしまうようになった。そんな車社会の前橋において自分で運転して移動できなくなった瞬間に人生は変わってしまう。それは誰か頼る人がいたとしてもである。誰かに頼って送り迎えをしてもらう。それは例えば家族であっても遠慮が発生したり、逆に遠慮しないことで関係が悪くなる事もある。駅に行く、病院に行くとなれば現在のマイタク(でまんど相乗りタクシー)などを活用できるかもしれないが日常は違う。思いつきで、何処かに出掛けたり、急に何かが必要になったり、そんな時に自分の足でしっかりと移動できることこそ重要である。これからの時代はまさに他力本願ではない、自力本願がテーマになる。自分の足に、自分の力にどこまで頼れるか。

6月3日の上毛新聞に東京大学高齢社会総合研究機構教授、飯島勝矢さんの話が載っていた。自立高齢者の調査で、運動習慣だけある人は、運動習慣はないが文化活動や地域活動をしている人よりもフレイルに対するリスクが3倍高かったという内容だ。フレイルとは、健常から要介護へ移行する中間の段階と言われている。具体的には、加齢に伴い筋力が衰え、疲れやすくなり家に閉じこもりがちになるなど、年齢を重ねたことで生じやすい衰え全般を指す。記事の中に、「もう2千歩余分に歩くのではなく誰かと一緒に歩くことが重要」とあった。文化的な要素や多文化のコミュニティなどが多く存在し、徒歩移動の範囲に様々なものが集積している中心市街地のメリットを最大限に感じるところであった。

中心市街地から郊外への居住が進む中、中心市街地の空き家は増加する一方、郊外の高齢化が進み、車の運転が困難になったり、免許を返納したりした高齢者の日々の移動手段が制限されることが懸念される。年を取ってから車に頼らず安心して暮らせるよう、郊外に住む市民を、駅、市役所、病院などの公共施設が集積する、住みやすい地域である中心市街地の空き家に呼び込むこともできると考える。

高齢者になったら免許を返納して、というのは被害者も加害者も作らないためには必要なことである。しかし、「自分だけは大丈夫と思い込む」「言っていることはわかるけど車が無いと生活ができない」という事実がそこにはある。この問題は交通政策の問題だけでは無い。現在の交通費等の補助では市の財政負担が膨らむばかりで解決には至らない。
そこで、中心市街地の空き家に新しい価値を創造することが出来るのではないか。高齢者に移り住んでもらうことで解決する問題が沢山ある。中心市街地には歩ける範囲に様々なものが集積している。元気21ではカルチャー教室などが行われ、アーツ前橋や文学館、お祭りや中央イベント広場でのイベントなど様々な人たちとの交流も促せる。道路や水辺など、公共空間の利活用も様々な検討がなされて行く。
最後まで自宅で過ごしたいと誰もが思う。しかし今、時代は変わり様々な施設などに入って行く現状がある。最後までは難しくても最後の10年間、新たな場所で新たな仲間が作れるかもしれない。その時に重要なのは自力だ。自分の力で移動できる範囲に何があるのか?もし自分の力で移動できなくなったらどうするのか?頼れる家族はいるのか?その時家族はどう思うのか?

中心市街地への居住は様々な問題を同時に解決することになる。免許返納者に対して、まちなか居住を促すことができればリハビリする前に日常がリハビリになる。空き家を高齢者むけのシェアハウスにリフォームすることもできるかもしれない。
中心市街地の空き家問題と高齢者ドライバーの問題を合わせて考えることが必要だ。その時のテーマは「自力本願」である。

前橋市議会議員 岡 正己

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