2018年1月29日

前橋3.0

「前橋3.0」
市民が各自の責任を果たすため、自発的・誘発的に改革や創造を始める誘発的創造が起こる。
そんな時代に突入しているのかもしれない。

そんなイメージを抱かせる講演会であった。
前橋市民活動支援センター10周年記念事業
「地域が輝く市民活動〜Mサポがつなぐ前橋の協働〜」に参加した。

大阪ボランティア協会 常務理事 早瀬 昇氏の講演
「市民の力が活きる素敵な街づくり〜参加が生み出す自治の街〜」は最高だった。

年に何回も講演を聞くことがあるが、早瀬さんはテクニック、内容、お客さんの巻き込み方などプロの仕事だった。

大阪出身ということで大阪弁やギャグなどを織り交ぜながら
ボランティアという言葉が、まだ広辞苑にも載っていなかった時代の活動や
阪神大震災での実際の現場で起きていたことなど溢れ出てくる知識と経験が人を引き寄せる。

行政、市民、企業の関係
心理的、社会的な人間の行動には理由がある。

早瀬さんは自分の言葉、哲学者の言葉など多々織り交ぜながら重要なことを伝えてくれた。

行政は公だ。誰かを差別することなく奉仕しなければならない。
阪神大震災では行政は全体の状況を把握するまで動けなかったという。
公でないといけないので全体に対しての奉仕が必要になる。
しかしボランティアは違う。ボランティアとは自分の意思で動く、自発的な行為である。
誰かに必要とされることは生き甲斐にもなる。

開くこと
私を開くと公共的になる。

「公」=ム(三方囲み)を開く。
「私」=禾(実った稲)を囲む。

大阪の淀屋は、自分の店の前に橋をかけてそれを誰でも使えるようにした。
目的は川を挟んで目の前の米問屋に行きやすくするためだ。
自分のためでも、みんなのためになれば公共的になる。

「自発的な無償の行為、対象を選べる、好きであることが選択の重要な基準、機能以上に存在に意味がある、出会いは偶然、しんどいこともあるが自分自身も元気になれる、自分が満足するだけではうまくいかない、止める時別れる時が辛く難しい、心移りをすることがある」

この要素は閉じていれば恋愛、開いていればボランティアだという。
ボランティア活動は恋愛に似ているということだ。

市民活動とは
・全体に拘束されないから「機動的」
・それぞれの個性を活かすがゆえの「多彩さ」
・個々に応じることができるから「温かい」
・自己責任で多彩な活動を「開発・創造」

炊き出しでのアレルギーを持つ人への対応、ペットが被災したときの対応
など当事者ではないとわからないことが多様な人々が集まることで気づくことができる。

まちづくりと一緒だ。
第三者視点を捨て当事者意識を持つ。
第三者は、かわいそう、役所が悪い、私は関係ない・・・となってしまう。
しかし当事者は、放っておけない、なんとかしたい、自分たちの問題、ともに考えよう、
私たちで解決しよう、私たちが解決できるとなっていく。

当事者意識を持つことで全てが変わる。
京都で開催されたユニバーシアードのボランティアの話が面白かった。

イベントなどのボランティアで会場案内係と駐車場係が辛く前向きにやれる人が少ないという。

その考え方を変えてボランティアスタッフのやる気が変わったという。
会場案内係はイベントで一番最初にお客さんに会う人たちだ。言うなればイベントの顔。
その顔でイベントの印象が変わる。

会場案内係は「会場はこちら」と書かれた案内板などを持って道に立っている。

そのボランティアはただ道に立つだけではなく、矢印の書かれた大きな被り物を頭に被り
大会に関してのクイズが書かれた紙を持って立っていた。
その姿に外国人は写真を撮ってイベントを拡散し、
来場者は次の角でどんな質問がくるのか楽しみになり、みんなワクワクしながら会場入りしたという。

その結果、会場の雰囲気が最初から温まっていて大会全体が成功したという。
「やってんのかやらされてるのか」この部分はとても重要である。

「アメとムチの致命的な7つの欠陥」というのも紹介していた。
目先の報奨プランや成果主義は有害な場合もあるという。
1内発的動機付けを失わせる
2かえって成果が上がらない(報酬をもらうことで遊びが仕事に変わってしまう)
3創造性をむしばむ(報酬は焦点を狭め、右脳を抑制する)
4好ましい言動への意欲を失わせる(報酬が利他的な行動を抑え、自発的欲求を阻む)
5ごまかし、近道、反倫理的行動を助長(罰金制の負の側面)
6依存性がある(報酬がないと行動しなくなり、より高額の報酬を求める)
7短絡的思考を助長する。(短期的成果で良しとしてしまう)

人手不足が深刻だ。給料を上げても人が集まらないと聞く。

報酬がもらえれば働くといった時代は終了しているのかもしれない。
そこにやりたいという気持ちがあるかどうかだ。

その仕事の魅力、社会に与える影響など企業側から伝えられることはたくさんある。
個人の魅力を最大限生かすことも企業側に求められている。

ただ言うことを聞いていれば良いという経営では、その仕事の魅力がなくなってしまうのではないか。

この会社に入るとこんなことができる、それは地域のため、ひいては世界のためになっている。
「だからあなたが必要なのだ」というメッセージが人を惹きつける。

講演の中で紹介してくれる本も興味深かった。
・日本人は民主主義を捨てたがっているのか?(想田和弘著)
政治家は政治サービスの提供者で、主権者は投票と税金を対価にしたその消費者であると政治家も消費者もイメージしてしまう。主権者が政治の主体であるにもかかわらず政治サービスの消費者になってしまうことで受け身になる。

・Drive The Surprising Truth about What Motivates Us (ダニエル・ピンク著)
モチベーション3.0の時代、アメとムチの時代は終了し、内側からくる「やる気」によって動く。

・PTA、やらなきゃダメですか?(山本浩資著)
PTA役員会をボランティアセンターに改組。多彩な保護者がサポーターとして活躍。多数の単発活動で参加のハードルを下げることで義務と強制をやめ、ワクワク運営!

・しんがりの思想(鷲田清一)
我々は意味を求める病にかかっている。わたしがわたしであることは他者からの承認にかかっている。特定の誰かにとって自分の存在がどのような意味を持っているか、その確認が人の存在を支える。

とにかく書ききれないくらいいい刺激を受けた講演だった。
会場もほぼ満員で前橋の市民活動の底力を感じることもできた。

前橋1.0 生存を目的とする行動
前橋2.0信賞必罰に基づく、与えられた動機づけによる行動
前橋3.0 自分の内側から湧き出る「やる気!」に基づく行動

前橋3.0はまさに新しい価値を創造していくことだ。

前橋市議会 議員 岡 正己

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