2021年8月6日

市町村の森林政策「森林管理における市町村の役割」。

市町村の森林政策研修。2人目の講師、東京農工大学 土屋俊幸名誉教授から
「森林管理における市町村の役割」

1、市町村と森林・林業
元々は、山村や林業が盛んなところに林業政策が展開されていたが、2019年より全ての市町村が森林環境税の徴収に当たり、森林環境譲与税の交付を受けることになった。森林行政に関わらざるおえない状況になったということである。

1960年代から地域の林業を考える林業構造改善事業が開始された。その後、市町村がコーディネーター的役割になり、1983年に市町村森林整備計画(任意、間伐対策としての意味合い)が立てられた。1998年に森林法が改正され、市町村の役割が強化された。市町村の合併が促進されていくことも大きな影響を与えた。

大合併により農山村を巻き込んで大きくなり、市町村の中に林業が巻き込まれ各市町村が自分の問題であると認識し始めた。逆に林業が一番重要だった村などは合併により政策の優先順位が遅くなってしまうというデメリットもあった。また、合併を選択しなかった山村部では生き残りの政策として林業がさらに重要になった。
2001年 森林・林業基本法 → 森林法改正により市町村による森林のゾーニング
2011年 森林・林業再生プラン → 市町村森林整備計画がマスタープラン化し、全国一律のゾーニングは機能せず地域にあった中身のある独自のゾーニングに
2018年森林経営管理法 → 市町村が法律実施の要となり、全ての市町村が森林環境税の徴収に当たり、全ての市町村が森林環境譲与税の交付を受ける

1995年からかなりのスピードで市町村の強化されてきた。このスピードに市町村は追いついているのか、追いつくべきなのか。今、林業行政に関しての高まっている市町村にとって大事なことは全国の試みを知ることである。
参考:「森林を活かす自治体戦略」柿澤 志賀和人(筑波大教授)

□今の林業行政の現状
市町村1団体あたりの専門職員数はなしが多く(4割)平均は1.8人で市町村内で格差がある。2019年市町村の森林行政職員数は若干増えているが、一人当たりの業務量はかなり増えている。国の政策が行き詰まっていて、県はあてにならない。木材を支えていくのは市町村である。そのために森林行政の挑戦の支援が必要である。※経路依存性を脱却できない国の森林政策への批判などもある。

スイス、オーストリア南部では、市と森林組合の協働で自然保護を中心とした、地域森林経営オペレーションのノウハウを獲得し高度な持続的な森林経営を行っている。

2、森林環境勢 森林環境贈与税
税の目的は、地球温暖化防止、災害防止・国土保全などの森林の持つ公益的機能を十分に発揮させるため、経済ベースでは森林の整備が困難な、条件不利な森林について、整備を進めるために必要な経費を賄うこと。市町村は機能するのか。人材、経験、予算不足、モチベーション等問題は様々である。。

 

□戦略の立て方
・条例の制定・構想の策定
それぞれの地域にあった構想・マスタープランの可能性。国の施策との違い
専門委員会などを設置するなどして幅広いアイデアを収集し、民主的な合意形成によって正当性付与される。

・市町村の具体的な施策
A:森林管理政策(いわゆる通常の林務行政)
B:独自の森林管理政策(独自のルール・施業)
C:森林を活用する政策・地域づくり政策
※川上から川下までをつなげて合理化・大規模化に本格的に取り組んだ事例はない。

 

・森林施策展開の方向性
全国森林連合会の方針:森林組合の体制(態勢)を強化しつつ、森林組合として積極的に市町村に働きかけ、経済的事業として着実に取り組む。
市町村と森林組合の補完関係の構築し都道府県を活用(譲与税は1割)する。

地域林政アドバイザー(退職職員)も有効。奈良県フォレスターアカデミーにて2年間の教育を経て市町村に長期派遣する奈良県フォレスター(森林管理職)という取り組みがある。

・市町村林間行政の可能性
市町村間の共同(協働)
広域連合、一部事務組合、共同出資の組織、県の出先機関の管轄区域。広域森組の営業区域での共同、民間組織へ共同委託、人材育成の共同化

市町村が、地域の森林管理の「主役」になれるのか。前橋のような都市近郊地域の可能性として、木造都市、木育、都市近郊林の整備などが挙げられる。森林環境譲与税については、公有林化すると譲与税の配分は減る可能性がある。普通交付税の算定からすると普通交付税のほうが割りがいい。

県の一番弱いところは住民情報である。所有者の特定は市町村の役割だ。広域連携の連携する業をどこまでにするのかの問題もある。都道府県としてかなり前のめりなところは森林県営管理制度で県が雇ってアドバイザーを駐在させるという手法もある。その場合、首長から言われたほうが説得力があるだろう。

レーザー計測で詳細な地形図を作ることも重要。

□本日のめぶき 「新しい店」
変わっていく街並み。この京華の黄色と赤のストライプもいつしか見られなくなるだろう。

近いうち取り壊される予定だという。在る時は普通でも無くなってしまうと特別になる。無くなるからには理由がある。この辺りの建物は築年数がかなり経ってきて雨漏りなどの問題を抱える物件も多い。

無くなってしまうものもあれば生まれ変わるものもある。

乞うご期待。

前橋市議会議員 岡 正己

過去の活動報告

過去の活動報告

あかとねの日々の活動レポート

赤利根では、所属議員の活動や議会の情報について「赤利根ジャーナル」を通して皆様にお伝えしています。

お問い合わせ

お問い合わせは、下記からお願いします。

E-mail: info@akatone.net
Address: 〒371−8601 前橋市大手町二丁目12−1