2021年8月9日

市町村の森林政策「有田川町における森林経営管理制度の取り組み」。

市町村の森林政策、4人目の講師
和歌山県有田川町産業振興部林務課 児玉 晋平氏
「有田川町における森林経営管理制度の取り組み」

有田川町のシンボルとも言える景観、あらぎ島は日本の棚田百選に選ばれていて観光地になっている。ぶどう山椒の生産が日本一。人口は26,050人(令和3年3月31日現在)で面積は35,184haで総面積の7割が森林である。

経営管理制度の取組状況(令和元年度と令和2年度の合計で令和3年3月31日時点)
意向調査は3,168ha、集積計画は69.9105ha、配分計画は7.4546ha、市町村管理事業(間伐)は14.74ha

□意向調査の方針
・できるだけ早く実施して町全体を10年間で一巡するように計画
・地籍調査の完了している地域を優先的に実施
(地籍調査の進捗率は令和元年度時点で82% 、6〜7年くらいで全町完了する予定)
・調査対象抽出に施業履歴を考慮しない

業務の委託
直営と委託の併用型。合併前からの森林組合2つに委託して、元々無い部分は直営で行っている。地域の事情に精通している森林組合と随意契約で委託している。委託エリアについては森林組合と相談しながら行う。

意向調査の委託契約おける採用単価
林野庁の歩掛かりを補正して採用している。6,176円/ha (令和2年度実績)問題点としてはha単位だと10haなど 大きい山をやりたがる。筆単位という選択肢もある。一筆4400円位。

意向調査票は町の封筒に入れて送付する。帰省などの兼ね合いがあるためできるだけお盆前に着くように送付する。意向調査の結果として、回答者の54.3%が町に委託を考えている。
回収率は66.9%で 595ha。調査に協力してくれた山主にはお礼状を送る。

問い合わせの内容として、「回答を出さないといけないのか」「山林について興味がないのでもらって欲しい」「委託したいが費用負担は生じるのか」「委託期間中に売却できるのか」「現時点では自身で管理するが、今後は街に変更することは可能か」「自分の山がどこにあるかわからない」「委託期間中に災害が起きて、土砂崩れになった場合の対応はどうか」等

意向調査の工夫した点
・親族の帰省時期(お盆)を狙って意向調査票を送付
・回答者にお礼状を送る
・意向調査について記載したチラシを回覧
・町の封筒で調査票を発送する

□集積計画作成の方向性
直営エリア:経営計画作成が困難なため市町村森林経営管理事業としての集積計画作成を検討委託エリア:経営計画が作成できることをイメージして候補地を選定。既存の経営計画がある場合は、面的なまとまりを意識して集積計画作成を検討する。 配分計画作成が期待できるところは事業公募へ

回答結果をGISの属性情報として取り込んで管理し(町に委託、民間業者に委託、自己管理、意向不一致、未回答)色分けしていく。蛍光ペンで色を塗っていくように。

集積計画策定方針(以下の要件のいずれかに該当する山林)
1、経営計画策定が期待できる山林
2、既存の経営計画と一体的な施業が期待できる山林
3、和歌山県が作成する土砂災害マップにおける土砂災害の危険がある箇所付近の山林
4、災害時の土砂崩れ、風倒木の発生により、住宅被害の可能性がある山林
5、災害時の土砂崩れ、風倒木の発生により、住民が日常的に往来する道路を寸断する可能性がある山林
6、緊急に施業が必要とされる山林
7、概ね3ha程度の施業の集約化が見込める山林
8、町長が特に認める山林
集積計画の基本条件として、存続期間は10年が基本、間伐を1回以上実施、年1回の巡視、森林保険は山主が負担(任意)

集積計画同意取得に関する委託業務の採用単価は25,862円/ha (令和2年度実績)同意取得の流れとしては、個別訪問(説明・ヒアリング)→現地調査→現況調査報告書・集積計画案の作成→個別訪問(同意)

集積計画同意取得で工夫した点として
・ヒアリングシートに要望・権利関係を整理
・山林所有者にもわかりやすい資料づくり
・集積計画は配分計画にも対応できる内容にする

町単位切り捨て間伐補助金の活用:有田川町切り捨て間伐支援事業補助金
森林環境譲与税を財源として、切り捨て間伐への補助制度を創設した。補助金額は13万円/ha

□配分計画
林業経営に的した森林は、意欲と能力のある林業経営者(7事業者)に再委託した。森林経営に適さない森林は市町村管理事業となる。配分計画候補地の選定は既存の経営計画との位置関係、道路との位置関係、地元事業者のニーズ把握。民間事業者の選定委員会は5名。

□市町村管理事業
現地調査(直営):外周の境界確認(テープで明示)、プロット調査。施業の除地の確認※GPS機能のあるカメラがあると便利
施業計画書を参考にしがら施業内容を決定する

事業費の積算
直接経費、間接経費ともに、森林環境保全事業の単価を参考に算出。※令和2年度に和歌山県から積算支援ツール(Excel)が提供された。

経営管理制度に取り組んでみて「できることからやってみる」「ときには割り切りも必要」「
困ったら助けてもらう」等をあげていた。

□経営管理制度のGIS管理
意向調査や集積計画の大量のデータの関係性把握が困難、Excelの表だけでは山林の配置がわかりづらいなどの課題を内容をGIS上で管理できるように新たにレイヤ(意向調査レイヤ、森林経営管理レイヤ)を作成することで情報の可視化・一元化した。

林業従業者就業奨励金
就業一時金30万円 月額奨励金2万円/月(24ヶ月)総額78万円
※5年以内の離職した場合は返還

半農半林による就業者育成の取り組み
ぶどう山椒農家の後継者不足と林業従業者の人材不足を補うために「夏は山椒、冬は林業」の半農半林を提案している。産業課・商工観光課・林務課の連携事業

木材の利用・木育の推進
新生児に町産財を使った積み木贈呈、保育所の木材加工体験など

□本日のめぶき 「グループ討議/意見交換」
A班:テーマ 自治体職員の人材不足
課題点:林業専門職が1名のみ、移動があるので専門的知識が継承されない、国の林業政策が煩雑かつ複雑な制度設計になているので理解が難しい(※これは林野庁が新しく何かをやるときに予算獲得の努力の結晶とも言える)、林業専門担当係がない、専門職を採用しても林務以外に働く時がない、森林業の立ち位置がまちまちで沢山の人に理解してもらわないといけない、首長の思いで左右されがち
解決策:広域連合・競技会などで流域で管理する、林業担当者を増やすような働きかけを外部から※森林組合とか、仕事を減らす、森林の重要性を伝える、市町村森林担当職員のネットワーク(PASS付き相談HP)、地域林政アドバイザーを雇用、研修会への参加等

B班:儲かる林業
地域材のブランド化、売る方が作るのではなくて買う方が作る、川下が欲しがるものを作る、売れないとうまく回らない、外材が来ないので木材の需要が増えた、林業に追い風、林業が試されている、山育(山行く)の必要性、森林環境譲与税の活用、杉と檜がわからない市町村民、国産材であれば1000円出す、森林認証FSC・Sジェックなどどこの誰がどこから切ってきた材なのかがわかる仕組み、森林総研ウイスキーの樽にミズナラ材を使用、身近にあった色々な木を身近に使う、飛騨市は広葉樹でまちおこしをしている等

前橋市議会議員 岡 正己

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