2021年8月10日

市町村の森林政策「林業政策の展望」。

市町村の林業政策5人目の講師、鹿児島大学農学部 寺岡行雄氏
「林業政策の展望」
最初にこれからの展開シナリオが「生産、需要、流通」それぞれに示された・
【素材生産サイド】
主伐割合の増加、搬出量の増大、生産性・機械の稼働率向上、山土場が制約に、輸送力強化が必要、木材価格に対する市場手数料・はい積み量、立木在庫を増やす、大型需要への対応(複数・多様な現場、アライアンスの必要性)
【木材需要サイド】
工場の大型化、原木の安定確保が重要
【木材流通サイド】
取扱量の増大、役割の変化

国内の人工林の資源を活用する時代になり自給率が上がってきている。現在のウッドショックは収束していく。アメリカは6月に戻ってきている。バイオマスなどの燃料が確保できなくなったため中国から買いに来ている 状態である。

スギは縦方向の力がかかる柱には使えるが、たわむので横方向の力がかかる“はり”や“けた”には使えないといわれている。横に使う木材として米マツが使われるため、米マツが入らないと家が建たないと考えられているがそんなことはない。例えば28センチの“はり”を40センチにするなど幅を広くすればいいのだ。やるべきだったことは、供給が追いつかなかった米マツなどの代わりに国産材だけで家が立つということをビルダーに教えることだった。

木材は燃材としての需要もある。バイオマス発電は1000kW (一般家庭1.5kW 700軒分)発電するのに約1万トンの木材が必要だ。太陽光とは違って安定しているが燃材が嵩張りすぎる。バイオマス発電に過度の期待をされても困る。

製材工場を大型化することでコストが安くなるがなぜできないのか。マルタの供給保証がなかったからである。現在は鹿児島、宮崎などの森林組合が共同して中国に大量に送っている。

森林面積当たりの木材生産量の生産
日本の森林蓄積(森林簿)は52億m3で年間材積成長量は7000万m3づつ増えている。天然林は60年超えると成長が止まる。森林簿の値が変わると何が起きるのか。密度管理の密度曲線を変えなければならなくなる。これは間伐の度合い等、様々な計画の変更の必要性を意味している。

森林生態系調査は4kmごとに調査点が作られる。森林簿で統計値を出しているのは日本だけである。近未来に対して起こる二酸化炭素の吸収率などについて今の森林簿で判断できるのか。先進国において森林を活用していない 現在は木を切り尽くしてしまったため、発展途上国から木を輸入しているということはなく、ヨーロッパなど先進国が成長量分切るのは正しいとされている。

人口の減少により全ての産業が人手不足になっているが特に林業は賃金が安い。月収をあと10万円くらいあげないと難しいのではないか。賃金が安いことに加えて、林業は最も危険な産業になっている。割合は1000人に1人死亡。技術の進歩によって集配材の部分の死亡率は減ったが、抜刀の事故が減っていない。今でもチェーンソーで切っているためである。

現在の林業はの安いものを得るのに命をかけている状態である。これは行政や研究者全てで考え直す必要がある。例えば、機械で切る仕組みなど。ニュージーランドやオーストラリアなどは上からワイヤーでチェーンソーを吊るしながら伐採する方法をとっている。

製材品(製材加工)と丸太(素材生産)のコストを考えると森林所有者の手取りはかなり少ない。それによって資産として見なくなってしまった。森林所有者の手取りがヨーロッパでは倍である。日本は生産と流通のコストが高い。森林所有者にどうやって還元するかが課題である。

森林はあなたの地域の課題である。山主さんへの還元。山への関心。自分の山がどこなのかを意識してもらう。10年前くらいまでの手入れはしているけど間伐ができていない山などは、 バイオマス材としての特需も生まれているのだ。近隣に大型製材工場などがあれば輸送費などのコスト削減につながる。九州などは実践しいてる。

「山の価値!所有者の意識!担い手!給料が安い!等々問題はまさに山積み」補助金をつけるなどするか、機械化などでそもそもの体制を変えるなどしないといけない。近くに木材の需要があるのかを探るのもポイント。大型の製材工場を作るということは市場を乱すということを考えると劇薬にもなり得る。林業は価格がわからない適正コストかどうか判断できない世界である。

□市町村の森林管理業務
伐採の事前届け出が厳格化された。伐採後の造林がどうなるのか、どうやって切るのか、所有者はわかっているか、など様々なノルマが課せられた。伐採届の厳格化によって誤伐、盗伐、境界の確定(歩かないといけないが)などの問題の経血を図る。

境界にGPSなどを埋め込むなどの市町村の地籍調査も進んでいる。リモートセンシング、航空レーザー計測データ、レーザー林相図などから樹種・林相を元に境界案を作成できる。古い空中写真を使うことも有効である。昭和23年24年に戦後米軍が撮ったものがあり、1974年に全国をカラーで撮影したものもある。年代別の写真を見比べたり国土地理院のものを見ることもできる。

・山口県長門市の事例
林業成長化の事業を受け、森林環境譲与税使って第二組合を作った。一般社団法人で職員は3人。アジア航測に3,000万円で航空レーザーを委託。
森林環境譲与税は全国で600億の予算がある。職員の給料が支払えればいいがそれが担保される根拠を出せるかがカギ。まずはゾーニングと集約化。地元の小さい工務店などで家を作るなどの流れで川上と川下をつなげる。※参考:長門市財を使用した長門市の家

森林の経営は、局所最適(それぞれのところがやっている)と全体最適の視点が大事。フォレスターは全体を見ることが求められている。加工〜住宅まで。林業は10年も立つと大きく変わる。市場をすっ飛ばすこともできる。市場に来ない丸太が直で動いている事例なども沢山ある。儲かる林業研究会では稼げる林業をテーマに必要な人に必要なものを届けることを目指している。

林野庁の林業イノベーションにも期待。今まで50年で切ったいたものを30年で切ることで黒字化を図る。林業を成長産業化させ自立できなければ未来はない。

ドイツ南部のもみの木は日本に輸入され、神社のお札や卒塔婆、高級なかまぼこの板などに使われている。世界中のどこにどんなニーズがあ流のかを知っている。どこに地元の材を加工すれば有益なのかを調査する。

画像にとって本数と大きさを瞬時に計算するシステムもある。人間が一本一本数えた方が間違いが出る。人間がやれば正しいということは考え直すべきである。例えば下刈り。本当に必要なのか。補助金が出るならやればいいでは難しい。

ICT林業、現代林業で森林資源を見える化することが重要である。何千haになる場合は衛星の方が有効。空中写真をオルソ化するのでもいい。固定資産税の担当は使っているものなどもあるはず。DSM:樹高がわかって木の本数がわかる、収量比数がわかると間伐の時期などがわかる

長野市はCS立体図やG空間情報立体図を誰でも使えるようにしている。重要なことは森林組合がどのくらい電話できるか、捕捉できているか、森林作業路路網ルートの選定などもSFMという技術(ドローンで撮影して3次元にする)で簡単になっている。森林整備事業の申請にドローンが使える(各都道府県では不明)時代になった。10kg前後はものが持てるドローンは開発されている。

埋木調査も必要だが大事なことは木材流通の流れである。通常の林業は丸太になって出て行ったらさようならとなってしまうが、川下、つまり家から逆算していくことでマーケットインの考え方が必要だ。地域ならできるかもしれない。サプライチェーンのプロセスを変えていく。家を買う人が山を買いそこの木材から家を作る。

□資源を見える化から生産流通需要の見える化へ
ハーベスタ・ハーベスタヘッド・バリューバッキング(最適造材支援)

スマホの空中基地局をドローンで可能に。森林からネットへ繋ぐことで様々な問題が解決できる。また、こういった技術を平時にどう使うかでコストを考える。
参考:Soko-co 森林内での通信アプリ

今の生産性の4倍にしなくてはならない。人が地面に立つことなく丸太を手に持つ元のない林業をつくろうというテーマを掲げている国もある。とにかく生産性を上げていかないといけない。そのためにスマート林業地域協議会などを作りエクセルデータなどを共有する。デジタル化して新しい価値を生むことが解決の糸口だ。人間は決まったルールの中で見ている。木は安くて嵩ばるのでそもそも遠くに持っていくこと自体がナンセンス。地産地消を考え裏時はまず山から。

参考:異樹種の修正材などもある、CLT 床、壁など

□本日のめぶき 「渋沢栄一からのメッセージ」

前橋市議会議員 岡 正己

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