2022年1月13日

立川グリーンスプリングス視察。

立川グリーンスプリングスの視察。今後整備が予定されている、前橋のまちなか馬場川通りを手掛けるランドスケープデザイナーの案件ということで、規模や機能は異なるが共通する部分もあるため、現地でしっかりと体感した。今後の意見交換にも反映できる。

1月12日11時にJR立川駅集合。JR立川駅より徒歩8分の約10,000㎡の広大な広場とそれを囲む9つの建物によって創られた新しいまちである。ホール、ショップ、オフィス、ホテルなどがウェルビーイング(心も体も心地良いという意味のSDGsに次ぐグローバルアジェンダ)をテーマにつながっていて、内と外の境界線が曖昧で居心地の良さを際立たせている。

それは個々の建物と建物をつなぐ広場部分にも言えるが、このグリーンスプリングスとまちの境界線という部分においても同じことが言える。「まちの縁側」という表現だったがまさにその通りであった。

このグリーンスプリングスは、株式会社立飛ホールディングスのグループ企業である株式会社立飛ストラテジーラボが運営している。立飛グループは現在不動産事業を中核としている企業だが、元々は飛行機の設計、制作、販売を目的に1924年に設立された会社である。

その後、飛行機製造の技術で培った技術を使い、幅広い製品を製作。戦後、米軍に接収されたいた土地の返還があり、それを契機に不動産業を強化した。このグリーンスプリングスの土地も米軍から返還された土地で元々飛行場であった場所である。

グリーンスプリングスは2020年4月に開業でもうすぐ2年となる。コロナ禍で公園など公共施設への入場が規制される中、このグリーンスプリングスを解放したことで市民に喜ばれたとのことである。まちの縁側というコンセプトのとおり建物の角に内と外がつながるオープンスペースがある。

ここはオフィスの入るE棟。一番いいと思われる場所が誰でも利用できる無料の空間になっている。オフィスに入る前にまちのリビングがあるような印象。

ショップやオフィス、ホテルなど地方の政令指定都市の駅ビルのパフォーマンスを持ちつつもオンリーワンの部分は多摩地区最大規模の約2,500人収容のホールである。

座学にてランドスケープ・プラスの平賀代表から説明を受ける。平賀氏は2,021年 9月から馬場川通りに関わっていて、前橋愛を感じているということだった。馬場川通りはただの道路ではなく、広場のような道路となることで、これからのまちづくりの指針になると考えている。馬場川通りは、国交相がウォーカブルシティを推奨していることもあり、国も注目している事業で、今後は色々な自治体が視察などで訪れる場所になるくらいの意気込みで取り組んでいきたいとの話があった。

グリーンスプリングスは、敷地面積は約4haで、昭和50年初期にGHQから変換された土地で、奥にはIKEAがある。高度制限があるために建物の高さが出せないこともあって入札が2回不調に終わる。

立川駅はバブルの頃アートに溢れていたということで、その意思を受け継ぐためにTACHIHIパブリックアートアワードを実施し全世界に公募をかけて選ばれた作品が至る所に置かれている。まちの文脈を大事にしているという印象を受けた。

参考にしたのはアップルの本社「アップルパーク」や「グーグルマウンテンビュー」。社会変革が大きい中、新たな気づきを与える場所とは自然が豊かな場所であると言われている。

つまり環境の良いところでイノベーションが起こるのだ。広場で扱っている緑は、隣接する昭和記念公園と併せてある。八王子のロボット会社が展示をさせてほしいなど交流が生まれてきている。社会連携の上に経済は立っているのだ。この場所は扇のかなめの場所と考えている。

地域の自然資本を取り入れている部分もポイントであり馬場川にも活かせる部分である。例えばカスケードに玉川上水の音ややきらめきを表現したりビオトープでも多摩川生態系を再現したりしている。

(最大の特徴であるカスケード。中心にあるビオトープ。)

立川の歴史を継承しながら多摩産材財の木材を使用することで地域産業の育成支援にもつながる。前橋であればもちろん木材を使いたいときに群馬県産、前橋市産材を使う(森林環境譲与税)。

(木の部分は多摩産材を使用している。都の補助金を活用した。)

持続性と多様性を併せ持つ「スマート街区」を実現する。小さい点から初めていけば大きな面になる。周辺にある公共施設、モノレールの高架下、公園などとつなげていく、染み出していくような印象。

街の人から見れば、公だろうが民だろうが関係ないのだ。市民が誇りに思っている部分を入れ込むことによって、最初から愛着が湧く。前橋に置き換えた時には馬場川だけではなくその周辺がどのようになっていくかを想像することが大切である。

ベンチの木はあえて交換しやすいようになっている。地域資材を循環させることを初めから考えて施行と管理を一体で発注しているところもポイント(行政では難しいかもしれないが)

内と外。街のリビングとして天候など様々なパターンにも適応できるようになっている。

大型スクリーン。ショップの広告などがサイネージ的に流れている。

最大の特徴であるカスケード。元飛行場であった記憶が蘇る飛行機の離陸の角度となっている。

飛行場だったという歴史をポジティブに捉えるアート。

展望デッキ。昭和記念公園のパークビューと併せて富士山もくっきり見える。

とても重要なポイントが街との接地面である。元々の外観を活かしながら境界線を曖昧にしている。ファサードももちろんガラス張りで開放感と同時に街との一体感を感じられる。
 

□本日のめぶき 「ランドスケーププラス

前橋市議会議員 岡 正己

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