2018年10月29日
結城100%
茨城県結城市、前橋市とも縁のある場所。
前橋松平家は別名結城松平家。結城氏といえば関東の名門。藤原鎌足まで遡れる。
そんな結城市でトークイベントに出演した。
結城を代表する奥順株式会社 代表取締役社長 奥澤武治さんと
私のスタイリストの師匠 岡部文彦さんと結城商工会議所 野口純一さんの4人でクロストークした。
自分は元スタイリストとして、現市議会議員として地域の宝をどのように残していけるのかを中心にお話しした。
トーク前に約二時間、結城紬に対してのレクチャーを受け、トークの時には実際に着用させて頂いた。
単純な感想は、「欲しい!」である。
結城紬は本当に粋だ。見れば見るほど味わいが湧いてくる。それは時代を超えるものである。
日本の無形文化遺産であり、ユネスコの無形文化遺産だ。結城市は世界の遺産があるまちだ。
羨ましい。世界に誇れるものがある。
奥順株式会社は様々なチャレンジを繰り返している。
結城紬をスーツに仕立てる提案や、ルイヴィトンが結城紬を使用してパリコレのランウェイに出たりした実績もある。
世界最高峰であると認められたが、生地としての価値が高すぎるため量産にはならない。
その辺のジレンマもあるようだ。
地域の宝を残すためには、革新と教育が不可欠だ。
今回トークイベントに出るにあたり結城紬、地域の宝を考えた時に結城紬は価格が高いという印象があった。
しかしそれは本当に高いのだろうか。世の中で販売しているもののほとんどが買う瞬間が一番高い。
誰かのものになった瞬間から刻一刻とその金額は下がり続ける。
ものよりも値段が高い。高いから低くなる。こういうもののことを高いというのではないか。
結城紬はどうか。その価値は変わらない。本物だからだ。その価値はどこにあるのか。
答えは生地の中の技術であり時間だ。
であるならば限りなく生地の状態に近い和服と、
パターンを引いて使わない部分が出る洋服とではどちらが価値が高いのか。
答えは和服だ。
仕立て直せば2、3世代にわたって着ることができる。
洋服にこれができるだろうか。
和服は元に戻せる。つまり生地に近い状態に戻せるためその価値は高い。
いつまでも変わらない。
しかも文化財なのだ。文化財が着れる、博物館が歩く。
これ以上の贅沢はない。
私は、着物の羽織りを発展させたガウンなどが可能性があるのではないかと提案させて頂いた。
例えば、高級なホテルの館内着などはどうだろうか。
粋とともに過ごすことができる贅沢。
和服の問題は様々ある。
奥澤社長は慣れるしかないと語ってくれたが、その慣れのハードルがものすごい高く感じてしまう。
トイレは?運転は?雨が降ったら?などなど。
入り口として、まずは羽織りのようなものに触れてもらう。そこから掘り下げてもらう。
需要を増やすという意味で革新は必要である。
その革新が伝統のものを守ることになる。
文化財と触れ合い、日本人に素晴らしさを感じ、私の中にもめぶきがあった。
前橋は絹のまちだ。本当にそうだろうか。
今、絹のまちの面影を取り戻そうと活動している人達がいる。
その芽はまだ小さいかもしれないが、前橋の未来にまた、絹文化が育つかもしれない。
結城紬が好きで移住してくる人達がいる。
この事実を行政はしっかりと受け止めて強化して行くべきだと感じた。
前橋にはあるだろうか。移住の理由になるものが。多少はあるとは思う。
奥澤社長が話してくれたエピソードに10年ぶりに求人を出した話があった。
リクナビに出した求人の応募者は900人だったという。
900人。この規模の求心力はなかなかない。
時代は常に変化している。
以前のようにではなくて、これからの新しい価値を創造していかなくてはならない。
とにかく、結城紬が欲しくなった。その金額から購入するときはまさに勇気100%である。
今の私は何%か。50%くらいかな。
私もいつかは結城紬を着てまちを闊歩したい。
前橋市議会 議員 岡 正己