2019年10月24日

地方分権と自治体の行政改革コース1日目。

令和元年度市町村議会議員研修「3日間コース」地方分権と自治体の行政改革コース。

3日間の研修が始まった。場所は琵琶湖の近くにあるJ A I M(全国市町村国際文化研修所)だ。
初日は、総務省自治行政局行政課長、阿部知明氏による「地方行政をめぐる最近の動向」を約2時間の講義。第32次地方制度調査会、スマート自治体研究会報告書概要等、地方議会・議員のあり方に関する研究会について、地方自治法の改正概要、マイナンバー制度等について、をかなりのスピード感で進んだ。資料の分厚さもあるが、後で何度も読み返さないととてもじゃないが頭に入らない。貴重な資料がいただけてありがたいという感覚だった。

続いては、兵庫県養父(やぶ)市長 広瀬 栄氏による「地方分権時代のまちづくり」を1時間半。広瀬市長はその熱意もあるが、話もとても面白く、養父市にとても興味が湧いた。トップセールスマンとしてのあるべき姿だ。養父市は読めない市として有名のようだが、藪医者医者のヤブの語源は養父市らしい。もともと優秀な医者が多かったために養父の看板をあげるだけで薬が売れたので、便乗して粗悪な薬売りが出たことでヤブ医者はダメな医者の代名詞になったとか。

講義内容は、「養父市の挑戦」養父市の概要は以下の通り。
人工:23,510人 面積:422.91k㎡ 高齢化率:37.49% 名産:但馬牛 財政力指数:0.233 経常収支比率:88.1%  実質公債比率:7.2%

全国で過疎自治体は(全国:1719)817で47%で 約半分となっている。過疎地域の人口は1088万人 、国の人口は1億2銭700万人なので人口は8.9% となる。面積は23万㎢、国土は38万㎢なので約6割だ。つまり6割の国土を10%の国民で守っているということになる。どこも課題は一緒だが出生率の関係で20代30代の女性を確保していくことを課題としてあげていた。ちなみに出生率は、全国1.45人 、東京1.24人、養父市1.62人となっている。
大人が子供に職業に対する潜在的な序列を与えてしまっていたり、自然と田舎より都会の方が偉いと言うようなヒエラルキーが生まれていると言うこともある。養父市は、約50年前から農地は半分となり、農家数も約4割となった。国はというと農地が50年間で約65%(3分の1減った)となり、兵庫県は3分の1になっている。養父市は中山間地で小規模農家が約85%とほとんどだ。農業を維持することが地域の誇りを持し、伝統文化を伝えていくことにつながる。広瀬市長の「農業を守った上で地方創生をやる」という熱意がそこにはある。

現在、国土の約7割は中山間地で農地の荒廃が進み、国のお荷物になろうとしている。ここで取り組むのは中山間地の価値を変える!無から有への転換が必要なのだということ。そのためには、「全国画一化の施作は、むしろ地方を滅ぼす」場所によって同じ農業でも全く別物!それを一つに括ろうとするのは無理!地方の提案を全国へ拡大することが養父市の使命とした。

・国家戦略特区の提案
1、農地の流動化に関する農業委員会の関与の廃止
2、シルバー人材センター会員における労働時間規制の緩和 ※高年齢者雇用安定法:高齢者には地域貢献をしてもらうから働くなくていいという法律、1週間20時間以上は働けないなど
・高齢者の活用による地域経済の活性化
キャッチフレーズは「誰でも農業出来るようにしよう!高齢者にも働いてもらおう!」
国家戦略特区の構造改革特区はボトムアップ型だ。内閣府が各省庁の了解を取るもの。トップダウンで大胆な規制緩和が可能になる。地区が指定されると全ての制度において検討できる。それは農業だけではなく全ての省庁にわたって規制緩和を視野に入れることができる。
□養父市の実例
・農業委員会と市の事務分担をした。
農業委員会は、農業の番人だ。しかしその番人が厳しすぎて広がらない。公選法で選ばれることもあり、有力者になるのでなかなか厳しいのと時間がかかるところがある。しかし、そもそも地域の農業の未来を考えるのが農業委員会の仕事だ。全国の農業会議所から一斉に非難を受けた。なんとか賛成多数で決定。以後は選挙ではなく市長の任命制にして風通しを良くした。

・農業生産法人の要件緩和と企業による農地取得の特例
企業が農業参入行うためには農地法によって高いハードルがあった。しかし、これかたは企業にお金をしっかりと出させなくてはならない。企業による農地取得の特例により役員要件も一人で良くなり、企業の農業参入は増えている。これからは多様な担い手を入れ込まなければならない。これは5年間の期限付きで養父市だけのものだが、これは革命と言える。企業としては農地を持つことによって農家の一員に認められ地域の農家と連携できる。市内外13の企業が参入、営農している。農業参入した法人の6次産業化に伴う雇用の創出は約100名にものぼる。参入企業は多種多様だ。温暖化による気候変動で酒米が作れる環境が上に移動したことにより酒米を作り酒造りまで行っている企業や、9月と3月がとっても忙しい製本会社が忙しくない時にニンニクを作ったり、関西に生産拠点がない需要のあるリンドウの生産を行ったりと様々。

・ヤブクル:自家用有償観光旅客等運送事業
ÜBERのようなシステム。その昔は白たくとも言って2種の免許を持たない人が運転する車での移動のことだ。全国のタクシー協会会長や労働者が市長室に詰め寄ってきたこともある。しかし、実は地元タクシー会社が配車できないエリアがあった。遠くにあるためいけば行くだけ赤字になるというわけだ。で、あれば既存のビジネスに干渉しないその部分位だけ運用できないかということでヤブクルは誕生した。N P O法人を作りタクシーの6割の値段で運行している。

□その他
・登録薬局の薬剤師による遠隔服薬指導:将来的にはドローン輸送なども検討する。
・職場の服薬指導:家だけじゃなくて職場でも可能にする。
・インフルエンザをテレビ電話で判断:簡単なキットを使い自宅で検査。まんえい防止。
・旅客運送:バスを5台以上ではないと起業できない現行の法律を少ない台数でも出来るように。
・レンタカー:車庫法で決まっている車を止める場所は、会社の拠点から2キロ以内と決まっているが、道の駅など交通の拠点となる施設をレンタカーの駐車場として使える。
・鳥獣害:罠にかかった獣を仕留めるのをエアライフルで。

「国の制度、県の条例、規則でダメでは!地方創生できない!!遊び心が大切!不屈の闘志!へこたれない!あきらめない!しつこくやる!」広瀬市長の言葉が身にしみる。

前橋市議会議員 岡 正己

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2024年5月15日

岡 正己 議員

馬鹿。

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