2021年3月16日

総括質問:まとめ

令和3年第1回定例会総括質問:赤城嶺に雲は輝き、利根川に霧は晴れゆく
岡:コロナ禍によって東京一極集中が本格的に見直され、地方都市はかつてないほど注目されている。コロナ禍前と現在では劇的な変化が起きている。例えば都内通勤者の場合である。コロナ禍前は毎日の通勤のことを考えれば、前橋よりもお隣の高崎の方が交通の便という点においては完全に分があった。しかし、現在、テレワークなどの働き方の変化によって通勤が週1回、月1回となることで、多少通勤がしにくくなったとしても、その他の判断材料でが選ばれる可能性は増したと思う。

しかし、知られていなければ無いのと一緒、数ある地方都市の中から選ばれるためにはしっかりとアピールすることが以前にも増して重要になっている。前橋のような地方都市にはコロナ禍はチャンスである。しかしそれは他の地方都市も同じだ。実際に企業移転、移住・定住などの政策にも差が出ている。シティプロモーションとは都市の営業活動である。前橋にある様々な魅力、様々な可能性を伝えていく。その時の営業担当は誰なのか。シティプロモーションの重要性が増しているいま、その在り方を問い、改善を要望した。

令和3年度からシティプロモーション業務が観光政策課スローシティ推進係に移管されると認識している。以前より、本市の魅力を伝えるためには全庁的なシティプロモーションに力を入れる必要があると訴えていたが、機構改革に伴い本市のシティプロモーションが狭義的になってしまうことが懸念される。シティプロモーションとはどこかの係がやるものではなく本市のあらゆる施策の上位に位置し適材適所へ効果的な発信をすることだと考えているが、シティプロモーションに関する今後の方向性について伺う。

(答弁者 政策部長)
シティプロモーションに関する今後の方向性について、市民をはじめ、本市にゆかりのある方々への誇りや愛着の醸成を図りながら、全市的な魅力を集約し、庁内横断的な魅力発信に引き続き注力したいと考えている。具体的には、その取組みの一環として実施しているSNSを通じた情報発信や市民との協働によるPR動画作成、各課の取組を集約しデータにまとめるパッケージ化等の業務を中心に、市民を巻き込みながら本市の魅力が様々な場面で拡散されるような仕組みを実施したい。

(2) 移住施策
① 移住支援金
岡:コロナ禍によって観光政策がなかなか先が見えない中、全国各地が多種多様な移住、定住政策を行っていますが本市の取り組みを伺いたい。まずは移住支援金についてである。本市へ移住していただく、特に首都圏から移住していただく支援策として移住支援金事業を昨年度から実施しているが、現在までの状況を伺う。

(答弁者 産業経済部長)
移住支援金事業については、東京23区内の在住者または東京圏在住で23区内に通勤している方が前橋市に移住し、群馬県起業支援金の交付決定を受けるもしくは群馬県のマッチングサイトに掲載されている対象企業等に就職をすると、一世帯当たり100万円、単身の場合は60万円を支給する国の事業で、昨年度から実施している。実績については、群馬県全体としては、令和元年度2件、令和2年度2月末時点で8件となっている。本市の実績としては、令和元年度は0件であったが、今年度につきましては、世帯1件単身1件の計2件で160万円の支給をしている。

岡:群馬県内で8件、本市で2件とのことである。令和2年度の前橋市への移住者は19件28名と伺っている。これは移住コンシェルジュを介して本市に移住した件数ですが、その中の2件しか当てはまらないということである。群馬県起業支援金の交付、もしくは群馬県のマッチングサイトに掲載されている対象起業に就職、というハードルとコロナ禍の移住には需要と供給にずれがある。国の事業で県を通してとのことだが、要件の緩和や追加などをしっかりと訴えていく必要もある。使われない、使いづらい支援金は意味がない。ぜひ現場の声を伝えて改善してほしい。

②移住・定住促進に向けた令和3年度における取組みについて
(答弁者 政策部長)
令和3年度における移住・定住促進事業の取組みについて、引き続き前橋移住コンシェルジュを核とし、コロナ禍の状況を注視しつつオンラインでの相談なども柔軟に取り入れながら相談体制を保持・継続していきたいと考えている。

また、赤城山周辺で活動を行う民間有志などを交えた意見交換の場として赤城山ミーティングを定期開催することによって、それぞれの知識やノウハウを共有し合い、赤城山周辺地域の魅力度向上や情報発信に努めることで移住促進へと繋げていきたいと考えている。

(3)サテライトオフィス誘致
岡:令和3年度予算にサテライトオフィス誘致推進補助金がある。移住・定住を促進するために、企業のサテライトオフィスを誘致することは重要な施策と考えるが、事業者に活用していただけるようサテライトオフィス誘致推進補助金をどのようにPRしていくのかを伺う。

(答弁者 産業経済部長)
サテライトオフィス誘致推進補助金は、市外県外事業者が本市にサテライトオフィス等を新設する場合に、初期費用の一部を支援する制度で、上限は1件100万円となっている。事業者に対してどのようにPRしていくかについては、現在のコロナ禍では、特にターゲットとなる首都圏の事業者に対して直接セミナー等でPRすることが、依然難しい状況である。しかしながら、首都圏へのPRは非常に重要なので、群馬県の東京事務所や移住・定住担当課と連携を図り、より効果的なPRについて、検討及び実施していきたいと考えている。

岡:長野市に企業移転移住支援金という政策がある。これは長野県外の3人以上の法人が長野市へ新たに本社移転または事業所を設置する場合に対し、移転支援金300万円、社員1人移住につき50万円(上限5人)を支援するというものである。
※条件として移転後、令和6年3月1日まで滞在する必要がある。
また、6人以上の移住すると長野市雇用創出企業立地支援事業補助金との併用も可能だ。社長以外の社員1人につき10万円、施設改修費1,000万円以上の場合に50%補助(上限は移住社員数×100万円と2500万円のいずれか低い方)が出るというものである。そしてこのページにはガッツポーズをした長野市の加藤市長の写真が載っていて、大きく令和3年3月10日までに長野市に本社・支店を設置したら最大1100万円と書いてある。金額を積めばいいというわけではないが本気度は伝わる。ちなみに実績を伺ったが、8月からで6社19人が移住したということで、施策の効果が伺える。

前橋市の企業誘致となると大規模のものを考えてしまいそうだがコロナ禍では小規模事業者の方がフットワークは軽い。サテライトオフィスももちろんいいが企業の本社、事業所、を置いていただいた方が良いと思う。サテライトオフィスには補助金が出るのに本社、事業所移転には出ないというこの補助金、補助要項などを見直すことで対応できることもあるかもしれない。柔軟な対応を要望する。

(4)リノベーションまちづくり
岡:次にリノベーションまちづくりについてである。地元の人は価値を感じない空き家や空き店舗、廃墟などいわゆる有休不動産でも考え方、使い方次第では価値を見出せることが全国の様々な事例からも証明されている。前橋市アーバンデザインでは、職住商学といったミクストユースを実現するため、遊休不動産を利活用し、民間が主体となってエリア全体の価値向上を図っていく「リノベーションまちづくり」が位置づけられている。特にアーバンデザインのモデルプロジェクトである広瀬川河畔において、リノベーションまちづくりに積極的に取り組んでいると聞いているが、現在の取り組み状況について伺う。

(答弁者 都市計画部長)
リノベーションまちづくりの取り組み状況については、広瀬川周辺を中心に、空き家等の遊休不動産調査を実施するとともに、所有者へのヒアリングを65件、出店に意欲のある事業者へのヒアリングを70件行った。その結果、広瀬川の一定のエリアにおいて、新規事業化の物件が複数実現する見込みとなっている。

岡:昨年8月に広瀬川で開催されたミズベリング前橋や、12月に臨江閣で開催されたアーバンデザインシンポジウムにおいても、遊休不動産の利活用をテーマとして広く市民に周知を行なっており、こうした取り組みをさらに広げていく必要があると考えている。今後の取り組みについて伺う。

(答弁者 都市計画部長)
今後の取り組みについては、広瀬川周辺の不動産利活用をさらに広げていく目的で、今月末に「リノベーションマッチング会議」を開催する予定である。この会議では、前橋工科大学の学生により、不動産オーナーへの具体的な事業提案を行うことで、遊休不動産の利活用を促し、商業だけでなく、住居やオフィスの進出など、ミクストユースの実現に向けた取り組みに繋げていきたい。

岡: 先ほどの長野市の企業移転・移住支援金のホームページには長野県宅地建物取引業協会の物件紹介のリンクもある。企業移転・移住を考えている人がそのまま物件検索できるという導線がしっかりと引かれているのである。300万円という移転支援金に反応した人がそのまま事業所の具体的な検討に入ることができればリノベーションなどで移転支援金を効果的に使用することができると思う。そこには地元リフォーム業者などとのマッチングもあると思う。
私も実際に企業移転を考えている方から建物のプライオリティは高いと伺った。場所よりもその建物の雰囲気を重要視する人もいる。

シティプロモーションとして取り組みから移住支援金、移住施策、サテライトオフィス、リノベーションと聞いてきましたが問題はこれからの施策がしっかりと紐づいていないことである。なぜか。答えは簡単で担当する課が違うからである。

移住支援金やサテライトオフィス支援は雇用政策で企業誘致ではないとなってしまう。空き家対策と起業移転・移住政策の親和性も高く、課題を同時に解決できそうだが、空き家対策は、あくまで住宅でオフィスではないとなってしまう。本市として移住・定住を促進するということが企業、事業所移転となれば法人税、事業所税など市税収入にも関わってくることを考えると非常にもったいないなと感じる。

各部長さんの答弁からそれぞれがプロモーションするべき魅力があり、横ぐしを刺した情報発信の必要性より強く認識しました。これはお金をかけなくてもアイデア次第でできることがたくさんあります。コロナ禍で状況は常に変化している。今現在は観光政策よりも移住政策だ。働き方も変化しているのではれば補助金の内容も変化していていかなければならない。本市は移住コンシェルジュの活躍により成果を上げているが、小規模企業移転、事業所移転から移住、空き家対策、雇用対策などさまざまな施策に結びつけることもできる。

赤城南麓だけではない中心部にマッチするパターンもある。また、テレワークなどで会社に行く頻度が減った場合、どのくらい出社する方々であれば本市からの通勤が苦にならないのか、という部分などもリサーチすることも有効かもしれない。やらなければいけないことが刻々と変化している。今までを、今を疑い新しい価値を創造していきましょう。

2 前橋市の教育について
(1) タブレット活用の具体的な効果
現在、国が進めているGIGAスクール構想にもとづき、本市においてもタブレットの配付が進められているが、子供達一人一人に個別最適化された学びに大変役立つものと考える。そのため、配付完了後は様々な場面での活用を積極的に図っていくことが重要である。そこで、先行配付されたモデル校の様子から、授業以外におけるタブレット活用の具体的な効果についてどのように捉えているか伺いたい。

(答弁者 教育次長)
授業以外におけるタブレット活用の具体的な効果については、まずは宿題で活用することで、ICTを活用した学習ならではの効果があると捉えている。具体的には、学習支援ソフトウェアのドリルを使い、先生がタブレットに宿題を配信することで、子供達は取り組みに応じて付与されるポイントを貯めるなど、楽しみながら自宅学習をしたり、自動採点機能によりその場で答え合わせをし、間違えた問題をすぐに解き直したりできるようになっている。

また、先生にとっては、宿題の丸付けの負担が減るとともに、一人一人の取組状況を端末上で把握できるため、これまで以上に個別の支援を充実させることができるようになる。当初は、紙の教科書とタブレットの併用により子供達の持ち帰る荷物がさらに増えてしまうという懸念もあったが、モデル校では持ち帰るものとその必要のないものを改めて見直している。国でも教科書のデジタル化を進める動きがあるので、他の市町村の取組状況等を注視しながら、引き続きタブレットを活用した持ち帰り荷物の軽減を図ってまいりたいと考えている。

岡:宿題での活用と持ち帰り荷物の軽減というとても前向きな答弁いただけた。このタブレットはさまざまな課題を解決できるものと考えるし、児童、生徒、保護者にもそれらをわかりやすくする必要があると思う。市民にとってもそうである。多額のお金をかけて配布するからにはその費用対効果がわかりやすくないといけない。宿題のドリルもいいがそれではただ紙がデジタルになっただけである。自分の興味のあるものを自分で調べる。これを繰り返すことができるという部分が最大の特徴だと思う。

私はこのタブレットに期待することは先生による個人差をなくすことである。私も二人の子供の父親だが子供たちを見ていると先生によるさまざまなを差感じる。それは宿題にも現れるが、漢字練習何ページという宿題を出す先生もいれば自分の興味のあることならなんでもいいので自主学習としてノートにまとめるという宿題を出す先生もいた。前者の場合は漢字練習をすることで勉強に向き合う時間、習慣をつけたいというのは理解できるが、それで勉強を好きになるのか。なんでも好きには勝てない。一人一人の取組状況を端末上で把握できるとのことである。それであればその課題にどれだけ向き合ったのかがわかると思う。同じ正解でも子供達には個人差があります。正解したことだけではなく正解に結びついたそのプロセスも誉めることで子供たちは探求することが楽しくなり、始めて深い学びにつながっていくのだと思う。

タブレットはあくまで手段で目的ではない。自主学習が宿題ということになれば自然と使い方を覚える。家族とのコミュニケーションも増える。タブレット端末を導入することで先生による個人差を解消し、宿題から楽しく学ぶことを覚えて、持ち物も軽くなる。よく答弁で各学校、先生方に任せているというものがあるがこのような今までにない変化の時にはぜひ教育委員会がリーダーシップを発揮してこれからの前橋の教育を引っ張っていただきたい願う。

3 文化政策について
(1)アーツ前橋
・アーツ前橋:今後の運営への要望
岡:アーツ前橋の住友館長が、今年3月末で退任することがウェブサイトで発表された。作品紛失などさまざまな問題が解決してからということになるとは思うが、職員や学芸員は館長不在の中で不安を感じながら進めてくことになり問題解決や館長人事が長引くことで再来年度の予算編成にも響いてしまうことも懸念される。

問題の解決はもちろんだが、開館準備の時からまちなかで様々な種をまいたアーツ前橋のめぶきを止めないように迅速な対応をお願いしたい。市民の署名活動も動き出している。
「社会課題に取り組み、地域とともに成長する次世代の美術館像を指向するアーツ前橋の館長職には、芸術という資源を適切に扱うことができ、地域のコミュニティと連携する滞在制作や地域アートプロジェクトにも通じた現代美術を専門とした人材の登用を要望するもの」で、私も賛同したが、館長という立場は同時にマネジメント能力も必要になってくる。検討していくなかで一般職の館長でも現代美術を専門とした特任館長を置く、また館長と共に学芸部長を置くなど専門性は担保しつつ館内外ともにしっかりとマネジメントできる組織体制も検討するよう要望する。

(2)アーツ前橋館外事業
岡:アーツ前橋は開館前から積極的に地域アートプロジェクトを実施ししてきた。また、教育普及において、学校にアーティストを一定期間派遣するという「アーティスト・イン・スクール事業」への注力は、県内公立美術館には見られない試みであり、これらは、アーツ前橋が市民とまちをつなぐという同館の基本計画における「つながる美術館」という理念を体現する特徴的な事業であると考えている。令和3年度はコロナウィルス感染症を踏まえた予算編成に加え、収蔵作品の総点検のための3か月の休館が発表されたところであるが、令和3年度の館外事業の状況を伺う。

(答弁者 文化スポーツ観光部長)
令和3年度の館外事業については、滞在制作事業や教育・福祉分野との協働事業などについて文化庁の助成金を活用しながら継続的に実施をするために各種の手続きを進めているところである。また、「アーティスト・イン・スクール事業」は関係人口の創出だけでなく、文化資本の再生産を促し次代につないでいくという、美術館が本源的に持つ社会使命を担った事業である。今後も、継続的して教育委員会や教育現場への丁寧な説明を行いながら、ご理解をいただき、本市の未来を担う子どもたちが芸術文化に触れる機会の創出に努める。

作品総点検や今後の体制づくりのための休館が予定されているところではあるが、館外事業は、収蔵や展示と同じくアーツ前橋の基幹的事業なので、着実な実施に向け準備を進めてまいりたいと考えている。

 

前橋市議会議員 岡 正己

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2024年5月15日

岡 正己 議員

馬鹿。

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