2021年7月7日

講義:福本智之教授/末吉 竹二郎特別顧問

「令和3年度世界情勢からわがまちの未来をつくる〜トップマネージャーの方のために〜」研修2日目。私の座席は一番で全体が分かりづらいので一番後ろから全体を写してみた。

□大阪経済大学経済学部 教授 福本智之氏
「コロナ禍における世界経済の動向と自治体への影響」
世界経済見通しは、世界の国際機関とか日本銀行などが上方修正している。IMF見通しは2020年では−3.3%でリーマンショックの時よりも大きいが、2021年は+6.0%になっている。これはモノの貿易が以前に戻っていることが影響している。アメリカはものすごい勢いの財政出動しているため経済活動が戻ってきている。
中でもアメリカと中国がV字回復しているが、日本は高齢化が影響しているためまだ消費が滞っている状態である。

今年に入って経済活動との両立が進んできたが、先進国と後進国の差が大きく出てきている。新興国へのワクチン見通しはざっくり来年の末くらいまではかかる。
そんな中、アメリがGDP25%増、欧州は10%増となっていたりと、先進国はリーマンショック時よりも高い位置に戻っている。格差が広がっている現状である。

サービス消費が減った分モノを買う時代になり、モノの消費が増えている。代表的なものはパソコン、医療関連品など。また、公共交通にダメージが出たために車需要が増えたという結果もある。

・中長期的な「傷跡」は
リーマンショック時よりも小さいが残ることは残る。
問題は、失業の長期化に伴う技能の低下、設備投資の弱さ、急激な産業構造の転換に伴う生産性向上への影響、政府保護によるゾンビ企業の温存(生産性が低い企業が残ってしまう)などが挙げられる。

コロナ禍によって対面型サービス業が落ち込んでいる構造はリーマンショック時の逆である。
中長期的な傷跡が途上国に残ると考えられる。米国の場合、2020年勤労世帯の家計の所得の伸びは+4.6%となっている。これは 給付金による影響だが同時に消費は3%落ちている。結果、貯蓄で伸びるということである。特徴的なのは貧しい人たちの貯蓄は伸びず、お金持ちの貯蓄が伸びたということだ。

今後の世界経済はどこへいくのか。
・デジタル化(DX)自治体レベルでも取り組むべきものであるが、DXはCXを伴うものでなければならない。IT企業(主にGAFAM)は 設備投資が急速に上がっていてIT投資が40%を超えている。

・脱炭素化(GX)カーボンニュートラル2050
日本は2030年度に−46%の目標を掲げているが中国は脱炭素を産業に結びつけていく動きをしている。環境関連株が上がっている。これは成長のチャンスである。アメリカ、欧州は環境に関しては補助金を出しまくっている。脱炭素は産業競争と言える。

・米中対立
アメリカ国内は、中国に関しては共和党と民主党の思いが一つである。アンケートでは経済に悪影響が出ても人権問題をやるべきという回答が全体の7割に達している。トランプ政権下で行なったさまざまな措置の影響によって中国の対米直接投資は急激に減少した。これはバイデン政権でも同様である。

・DX
自治体のガバナンスのあり方を考える。(事務のデジタル化などではない)例えば:有権者に対して対面からデジタルに置き換わっている。デジタル アリババは無人店舗を作っている時のメカニズムはオンラインがベースになっている。地域住民とのインターフェイスをデジタルで考えていくべき。

・GXとは新たな産業競争
コロナ後のインバウンドを考える。中国は2022年までは14日隔離すると宣言しているが、中国人は日本に来たがっている。現在、日本の商品、食品などは売れまくっている状態である。今後アフターコロナでは消費の方向がものからサービスに移行してくるのではないか。現在海南省がブームになっている。日本の体験など地方サービスでインバウンドをとっていくこともできるはず。モノよりもサービスになる瞬間を見逃してはいけない。

□国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問 末吉 竹二郎氏
「グリーンリカバリーから考える自治体の未来」
今まさに気候変動によって世界が転換している。そのことをしっかりと理解しておくことが必要。元祖は欧州グリーン・ディールである。欧州グリーンディールとは、雇用を創出しながら、C O2排出量の削減を促進するEUの新しい成長戦略のこと。コロナ禍によって落ち込んだ経済を回復させるに時にも、グリーンディールがダメになってはならない。グリーンディールの成功と重ねることが必要であるという子で、グリーンディールの軌道上で経済回復をしようということになった。優先順位を間違えてはいけない。重要なのは「リカバリーはグリーンで行くべきだ」ということ。

グリーンリカバリーの意義
1人間と自然の関係崩壊(気候変動、社会課題、コロナ禍も全て)
2危機の被害者は普通の人
3統合して対応
4気候変動への対応が大黒柱
5限られた財政資金の争奪戦

SDGsはブームではない。SDGsは「今の世の中を変えよう」ということ。 社会のあり方、経済のあり方、地域循環させていくことを念頭に置いていく。

しかし、どうしてもC O2を0にできないものもある例えば太平洋を越えるジェット機は電気では無理だと考えている。エンジンが必要なのだ。その場合排出したC O2の相当の木を植えて光合成で吸収していくという考え方で行なっていく。キーワード:ネットゼロ

EQUITABLEとは 公平の意味。

社会課題の解決を気候変動に織り込む
A・オカシオはグリーン・ニューディール法案を提出した。アメリカは日本以上に社会の公平さを考えている。イギリスは2030年にエンジンの車の販売を禁止する。(ガソリン、ディーゼルはNO ・H VはOK)メルケル政権は2030年 65%を掲げる。背景には、若者の「人権侵害」との訴えがあった。将来の生活を守るための法 ※緑の党の躍進がある。問題が政治を動かし始めている。司法が若い世代の人権を守る動き始めているこれが世界の動きだ。気候変動問題は、どうやってうまく深く早くやるかが先々の産業を決めてしまう

風力発電機を作る企業は日本には0。デンマークの国営電力会社Orsted(オーステッド)は2009年に化石から洋上風力やバッテリー事業へ転換した。これからの時代は化石燃料を使って電気を作る時間じゃない、再エネの時代だから株が上がるのだ。「サスティナブルファイナンス」の流れがある。この社会をサスティナブルにするために経済を社会を変える。それはお金の流れを変えることで環境金融とも言う。
金融(投資・銀行・保険)も変化している。銀行がお金を貸すときにはパリ協定とSDGsを見て貸すようになる。ESG投資、投資の判断はど真ん中にサスティナビリティがある。この環境のお金の流れの変化は津波のように押し寄せてきてる。抗うことはできない。

生物多様性の経済学
経済は自然の恵みを受けたら恩恵を払いなさい、対価を払いなさい、自然を保護しなさいと言うことがセットである。気候変動と生物多様性を守ることが必要不可欠な今、企業の存在意識が問われている。株主第一から社会第一へと変化していかなくてはならない。

日本の企業文化は国や政府に楯突かないと言うイメージがあるが世界は違う。もっと若い人たちの声に耳を傾けるべきだ。コロナ禍は人々の価値観を変えた。人々の頭の中を変え始めた。これからはもっと自由に必要なものを議論していく、自由闊達な役所内の雰囲気醸成が不可欠である。社会改革の司令塔は自治体、真の改革は地域から生み出される。そこには真の民主主義がある。

・グリーンボンド(債券)緑のお金
債券発行でお金を集める。民間の資金をどうやって集めるのか。地域の金融は地域との変革を助ける立場である。そのためのきっかけを公で行う。例えば水素ステーションの誘致など。

・太陽光パネル設置問題
ゾーニングの議論が足らない。木を切ってしまうならどこかに木を追加で植える。自然を壊すコストを別な形で賄う。プロジェクトに地元のかたが出資しオーナーになってもらう。

□本日のめぶき 「コンパクトの意味」
日本語のコンパクトと聞くとまとまっているという意味に捉えられるが、このコンパクトには緩やかな繋がりという意味がある。

前橋市議会議員 岡 正己

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