2018年11月6日
「月に吠える」初版。
私の事務所の1階は本が読めるブックバー「月に開く」である。
その店名は前橋の詩人、萩原朔太郎の「月に吠える」に由来する。
営業形態は15時〜22時と夜型のお店だ。
なので、商店街を日中通る人には、いつやっているのか謎のお店だったらしい。
入り口は一つなので3階の事務所に行くためには1階を通って行く。
ちょうど荷物整理などで入り口を解放していたら取りすがりの人に話しかけられた。
頻繁に通り過ぎるがいつも開いていないし、中を見ると本が沢山あるので古本屋さんか何かと期待していたとのこと。
古本集めが趣味ということで色々な話をしてくれた。
前橋にはその昔、15店舗近く古本屋があったが、今では2店舗となっているらしい。
古本集めが趣味ということで話しかけられながら逆にこちらが様々質問してしまった。
萩原朔太郎「月に吠える」の初版の話になった。
初版は、当時検閲に引っかかり何ページか切り取られて流通した。
今とてつもなく価値が高いという。
現代詩の中でも特に別格で、その希少価値も取引額も物凄いという。
前橋市には萩原朔太郎記念館「前橋文学館」がある。
朔太郎関連の資料が集積している。
直筆の原稿など本当に価値のあるものが沢山あるが
実は、「月に吠える」の初版だけ無いと言う。
古本市などで出たとしてもその値段が跳ね上がったりすれば、市の予算で購入ということになると非常に予想が難しい。
その他、色々話をさせていただいてとても勉強になった。
デジタルデータはいくらでも複製が可能だ。
その点、本は難しい。ある人には場所だけ取ってしまうゴミでも、あるところでは宝物になる。
今までどのくらい価値のあるものが、その価値に気づかれすに捨てられ、燃やされてきたことだろう。
古いものを見直すということも新しい価値の創造である。
もう作ることが出来ないもの。
古くからあるお店の看板などもそうだ。
今身近にある自分たちの宝物を再認識して残していきたい。
前橋市議会 議員 岡 正己