2024年2月9日

合同視察2日目、尼崎市。

前橋市議会議員 岡 正己

全国的な課題となっている子育て支援ですが各自治体によってその取り組みは様々です。前橋令明との合同視察2日目は子育ての取り組みがかなり進んでいる尼崎市でその取り組みを伺うと共に施設の見学も行いました。

【尼崎市における子ども・若者政策について】
こども政策監 能島裕介氏
こども青少年局 こども青少年部長 朴 志氏/こども青少年課長 浅田 崇之氏

兵庫県尼崎市は人口45万人の工業都市で人口密度は兵庫県内1位、全国でも21位となっている。ここ最近は人口が社会増している。子育て世代や単身が増えているが就学援助の割合も高い。尼崎市のこども青年施策の特徴として、予防に力点を置いた政策、教育委員会と市長部局の横断、日常からの関係構築、民間との連携という大きな4つが挙げられる。

(1)あまがさき・ひと咲プラザ全体の概要

あまがさき・ひと咲きプラザとは、2015年に廃止された大学の跡地を活用した市民の学びや育ちを総合的に支える拠点として整備された施設群です。大きな特徴として子どもから大人まで全ての市民が学び、育つこの都のできる総合拠点で、市長部局だけでなく、教育委員会、兵庫県(児童相談所、県警少年サポートセンター)、民間(指定管理者・受託事業者)、看護学校など多様な担い手がひとつの場所で連携している。

5つの施設が官民それぞれの役割で機能していて尼崎市の子ども・若者政策を網羅する。
□子どもの育ち支援センター「いくしあ」(※児童福祉法上の「子ども家庭総合支援拠点」として設置)

市長部局による、虐待や不登校、発達障害など課題や困難を抱える子どもたちと家庭に寄り添い、支えるための総合施設と教育委員会による教育相談をワンストップで支援している。
※2026年に市の児童相談所を開設予定
まずは電話していただき、多く配置されている専門職それぞれが連携しながら支えている。SSW(スクールソーシャルワーカー)を通じて市教委・学校園と連携している。

また、不登校の子ども支援として、公設民営支援施設の設置(4箇所)、学校において出席認定を行うことができる民間施設等の認定フリースクールガイドラインを策定し現在17機関が認定されている。

□ユース交流センター

青少年の居場所・活動拠点として、ユースワークの拠点となっている。尼崎市のユースワークの推進として、ユース交流センター(居場所)、ユースカウンシル(政策提言)、ユースワーク推進部会(取り組みへの助言)、ユースファンド(資金的支援)がある。また、元大学の図書館を活用し、図書コーナーや自習室、多目的室などを有するアマブラリと元大学の学生会館を活用したラウンジ、音楽室、ホールなどを有するあまポートがある。

ユースカウンシル事業として市長、教育長らの前で活動報告会を実施し、政策提言を行なっている。実現したものとして、市内に常設のスケートパークを開設したり、市立中学の校則見直しなどがある。

子どものための権利擁護委員会の設置や民間団体との連携も盛んに行われている。民間団体との連携として、ソーシャル・インパクト・ボンド実証実験(市内の生活保護受給家庭の引きこもり若年者に対して自立支援に向けたアウトリーチ支援)、日本財団第三の居場所事業(困難な状況にある家庭の子どもたちに対して第三の居場所を提供する)、学校外教育バウチャー事業(生活困窮状態にある子ども青少年に対して、塾や習い事、子育て支援サービスなどで利用可能なクーポン券の提供:ふるさと納税の仕組みを活用)、尼崎こども食堂ネットワーク等がある。

教育政策等のエビデンス研究を行うため外部研究者による「尼崎市学びと育ち研究所」を設置して、市長部局、教育委員会(学校含む)が保有する様々な行政保有データを活用している。

住民記録システムで自動採番された11桁の「統一コード」を使用して住民記録、保健衛生、税務、生活保護、障害福祉、子育て支援、学齢簿管理、児童扶養手当の8つのシステムと連携した支援システムを構築。

このシステムは、子どもの情報の閲覧、支援情報の記録、学校等への情報提供として活用され、他部署との情報連携、支援業務の効率の向上、緊急事案における支援制度の向上、SSWの支援制度の向上などの変化があった。

□「尼崎市子どもの育ち支援条例」について
平成21年12月〜(5年ほどかけて)庁内検討会議を経て外部検討へ。条例制定当時の背景は以下の3つ。
1子育てに不安や負担を感じる家庭が増え、家庭の子育てを支える地域の力が弱くなっている
2子どもの豊かな人間性や社会性を育む機会が知己の中で減っている
3児童虐待、いじめ、非行、不登校などの要因が複雑になっている

全ての子どもが健やかに育つ社会の実現を目指すのが目的。理念として、子どもの人権を尊重することを基本に子どもの育ちを地域社会全体で支える。具体的には、子どもにとっての最善の利益を考える、子どもの主体性をはぐくむ、大人が協力して健やかに育つ環境をつくる、各分野の連携がある
成果としては、子どもの育ちを支える仕組み(5章 地域社会の子育て機能の充実・向上に務めなかればならない①地域社会の子育て機能向上支援事業②スクールソーシャルワーク推進事業)、尼崎市子どもの権利擁護委員会の設置(6、7章)などがある。

課題としては、子ども食堂及び子どもの居場所の安定的・継続的な支援、教職員が授業等を行いながら家庭への支援を福祉的支援から行うのはますます困難になっていることなどが挙げられる。

今後の取り組み【CSW関連】
①子どもの居場所づくり等推進事業補助金(子ども若者応援基金基金を活用)
子ども食堂や居場所の開催回数を増やすことで見守りを強化する。子ども食堂最大年間10万円、居場所は5万円の補助を行うことで開催回数を増やす。内訳:開催1回2,000円(食堂)1,000円(居場所)

②子どもの居場所周知事業
キッズ&ユーススポットとして登録し周知する(ステッカーを貼ってわかるように)

今後の取り組み【SSW関連】
SSWを全中学校区へ配置(小41校 中17校 合計58校)学校における福祉的な課題解決のため、現在の10名から17名に増加したい(R8年度にかけて)

□本日のめぶき 「こども政策監」
市長部局の所属で特命に従い部局間の調整を行う。教育委員会の参与(昨年教育次長)でもあるのでうまくブリッジする。課長も併任を受けている。

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